内容説明
教会史上、正典につぐ地位を占めてきた諸文書。古代キリスト教会で評価の高かった「十二使徒の教訓」、黙示文学の形式で書かれた「ヘルマスの牧者」の他、「バルナバの手紙」「クレメンスの手紙」「イグナティオスの手紙」「ポリュカルポスの殉教」など十篇を学問的に原典から訳した、新約聖書の世界の全体像を把握するために必読の書。
目次
使徒教父文書の世界
十二使徒の教訓(デイダケー)
バルナバの手紙
クレメンスの手紙―コリントのキリスト者へ
イグナティオスの手紙
ポリュカルポスの手紙
ポリュカルポスの殉教
パピアスの断片
ディオグネートスへの手紙
ヘルマスの牧者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
64
教会史において、正典に次ぎ、重要な位置づけにあったとされる文書です。使徒文書というとパウロ文書が主ですが、それ以外にも様々な優れた文書があり、新約聖書の世界をより把握することができました。古代教会で評価が高い教訓書や黙示文学的な文書などがおさめられており、学問的な感じがします。新約聖書を神学的にアプローチするのに必読の書として相応しい1冊だと思います。2016/02/05
優希
39
再読です。聖典に次ぐ重要な文書になります。使徒文書というとパウロのものが多いのですが、それ以外にも様々な使徒文書があることを知りました。新約聖書の全体を理解するに最適の著書だと思います。2023/09/26
マウリツィウス
25
【随想:『使徒とパウロ』】《『使徒教父文書』を読み終えて、「罪の赦し」、この主題を省みていました》。/《『罪の赦し』を経ることで刻まなければならないこと、それは哀しみではなく「喜び」と想う》。《変わらない『約束』、「弱さから強さ」へ》、《「私が変われたこと、『共』に学ばなくてはならないことだった」》。《常に、「『聖書』を置き、繙く」。私が学べたこと、『言葉』、「血と肉」、これが示されたことでもあり、「問う答」、「振り返る」。『新生』、「必ず」と「約束」、「それを秘められる」》。『赦しと学び』を、刻み得る。2015/03/26
マウリツィウス
20
【使徒教父】使徒教父文書の残してきた新約聖書記録は旧約内包、つまり新約聖書文書とは偽典残存から発生した書とする「決定的かつ重大な誤り」を完全否定した最高の「使徒」及び「教父」の贈物、偽典とは失望と脅威から発生した悲鳴でもあることを忘却としない意味とは聖書のための教会の公同を復帰させた。ここにおいて、新約/旧約聖書は合流。「悪意」の歴史は終止符、幕を閉じる。楽園に住む蛇よ-「使徒たち」「教父たち」至福は新約期だけではなく私たちの生きる必然を「運命論」としない最愛の知恵と知識と愛だ。素晴らしき遺産は今尚残る。2013/06/17
マウリツィウス
18
「使徒教父文書」、外典機能として新約聖書補完/旧約聖書架橋いずれにも該当しないイレギュラー文書とも定義可能だ。新約聖書との同一語法も見られる文書ではあるがその異端性指摘の実際は不適切だろう。聖書の事実価値=根拠たる復活を否定する記録はないがそれに代わり「使徒」の名を冠した著者たちが自由筆記を進行させていく。ギリシャ語による福音根拠とは聖書記者の創作に非ず、使徒たちの殉教証拠も語り継ぐ。敢えてその後世を記す真実とは外典時代における信仰危機の文献証拠だ。新約聖書の総べる平和と統治とはこの教父が再証明する贈物。2013/05/13