講談社文芸文庫
司馬遷―史記の世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 308p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061975880
  • NDC分類 222.03
  • Cコード C0195

内容説明

「司馬遷は生き恥さらした男である。」に始まる本書は、武田泰淳の中国体験もふまえた戦中の苦渋の結晶であり、それまでの日本的叙情による歴史から離れて、新たな歴史認識を展開した。世界は個々人の集合であり、個の存在の持続、そして、そこからの記録が広大な宇宙的世界像と通底する。第一篇「司馬遷伝」、第二篇「史記」の世界構想。

目次

第1篇 司馬遷伝
第2篇 「史記」の世界構想(「本紀」について;「世家」について;「表」について;「列伝」について)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

55
研究対象にする以上、著者が司馬遷にどれだけ自己を投影していただろうかといろいろ想像しながら読んだ。もうちょっと中国史をなんとかしないといけないなぁ・・・。2016/12/24

chanvesa

26
「内に対するきびしさとは、思慮の深さ、思索の広さである。記録はもとより守らねばならぬ。しかしその前に外に対して守るべきもの、死を以て記録すべきもの、それをまず決定せねばならぬ。深き思慮と、広き思索とによって、内に対して、きびしく、これを求めなければならない。(43頁)」「政治だけが世界をかたちづくる。政治をになうものが世界をになう。(65頁)」昭和17年に書かれているのだ。2021/09/20

fseigojp

23
日本文壇で数少ない中国文学出身2017/07/07

Francis

13
10年近く積読。小説家武田泰淳が司馬遷を語った本。父がかつて定期購読していた「プレジデント」の歴史に関する記事中に泰淳がこの本で描き出した司馬遷の姿と極似したものがあった記憶があるので、この本はネタ本にもなっているのかもしれない。司馬遷の鬱屈、屈折した心理が実に上手く描写されている。国民的作家と言われた歴史小説家司馬遼太郎氏は司馬遷にはるかに及ばないからという事で斯様な筆名にしたとのことだが、確かに及ばないと思う。司馬遷の鬱屈、屈折ぶりを見事に描き出した泰淳こそは誠に偉大な小説家である。2020/10/17

A.T

11
漢文の例文に使われてきた司馬遷の史記、そこに描かれる激しい戦いに現実味を全くもてずに居眠りばかりの高校時代を思い出しつつ。国内国外問わず多くの敵の首級を競い、時に自らの首すらはねる勇猛な列伝の数々や、王統を記録した本紀を、あの、宮刑を科されたあとに書ききることができた執念の元は何だったのか。200ページ余りのコンパクトな一冊に、その真髄を垣間見れた。すごい本です。2013/10/27

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