講談社文芸文庫<br> 響きと怒り

講談社文芸文庫
響きと怒り

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  • サイズ 文庫判/ページ数 622p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061975774
  • NDC分類 933.7
  • Cコード C0197

内容説明

アメリカ南部の名門コンプソン家が、古い伝統と因襲のなかで没落してゆく姿を、生命感あふれる文体と斬新な手法で描いた、連作「ヨクナパトーファ・サーガ」中の最高傑作。ノーベル賞作家フォークナーが“自分の臓腑をすっかり書きこんだ”この作品は、アメリカのみならず、二十世紀の世界文学にはかり知れない影響を与えた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

78
感想じゃなく、敗戦の記。手強かった。読み出してすぐ思い出した。昔、読み出したが、訳が分からず数十頁で放棄。そのまま、書庫に収まっていたが、いつしか行方知れずに。先日、古書店で再発見。読めってことだなと、読み出したが、楽しめなかった。迷路に嵌ったような。通常、解説は最後に読むのだが、本書に限っては、訳者でもある高橋正雄氏の解説は読んでおいたほうがいいと後悔した。2021/03/17

キムチ

56
米文学、近代と現代の架け橋に輝くフォークナー。ノーベル賞作家叙述手法、失われた世代の旗手。選書は岩波上下巻…平石、新納氏共訳。半世紀前に触れたとはいえ挫折の記憶しか無かった。これだけの世界、読みいるにはリサーチが要するのだと痛感。今回は1ベンジーの2クェンティンの共に精神状態が健常でない内面に重きを置いた叙述の見事な流れが川のそれにもにて読了。文の背後は壮大な一族の黄昏が緩やかにうねる。同時にスイカズラの、流れる雲や葉擦れの音、食べ物の匂い、人々の体臭や体液の粘りすら、感触があり感銘に変わる。2024/01/26

白のヒメ

44
ある一家の没落の物語。特筆すべきなのは、導入部。知的障害を負った人物の、心理描写ではなく、心の動きをそのまま追って記述している。人間の心なんてリアルタイムで書き写したら、どんな人間の心だって意味不明だ。その上登場人物は知的障害というハードルがある。ゆえに非常に理解しづらいので、まるで読む格闘技のように刃向っていかなければ物語に入れなかった。読後は今までにないような閉塞感を味わった。難しいのに惹きつけられた。言葉に出来ない深い魅力がこの本にはある。フォークナー初読み。非常に興味深い作家だ。2014/11/21

fseigojp

31
よもや読了の日が来ようとは思わなかった 自分で自分をほめてあげたい 八月の光 本書 そしてアブサロム、アブサロム! 2年越しのフォークナー湾の航海 旅の終りは今秋頃か。。。。と思ったら 死の床に横たわりて を図書館から借りてしまっていた私がいた。もう、死ぬまでフォークナーや!2016/04/06

chanvesa

29
兄クェンティンの焦燥感は、キャディの血の爆発を何とかしたかった故なのだろう。この当時でキャディの生き方は許されないだろうし、兄クェンティンは破壊的な妄想により封じようとしたと思う。懐中時計を壊す場面は、悲劇的な進行をどうにかしたかったことの思わぬ意思表示かもしれない。対照的なジャクソンのえげつなさが際立つ。キャディに娘クェンティンを一目見せてやるの場面は、人類文学史上屈指の根性の悪さだ。つけたしで「論理的で、自制的で、昔のストア派の伝統をついだ哲学者」(580頁)というのはフォークナー一流のアイロニーか。2018/07/04

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