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内容説明
鹿ケ谷事件は“驕る平家”への警鐘であったが、清盛にはどれ程の自覚があったろうか。高倉天皇の中宮徳子は、玉のような御子を産み、一門をあげて余慶にひたっていた。―だが反平家運動は、今や野火の如く六波羅の屋形を包んでいた。その総師はもちろん、清盛の圧力に屈せぬ後白河法皇、関白基房などの院方。そして意外と思われる人に、76歳の老武将・源三位頼政がいた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
63
【りんねの巻】義経の雄肝さと、苦労知らずの平家三代目たちを憂う鉄火の大納言時忠。五条大橋で待ち受ける弁慶。後白河法皇を幽閉し、院政廃止に大きな一手を打つ清盛。対して源氏が起つ気配がいよいよと濃厚に。誰も彼もが魅力的に描かれ、これからの展開への期待にぞくぞくとする巻。筆も絶好調ではないか。男たちの眸に映る情景の描写が悶えるほどに素晴らしい。紅を散らす楓。池の面を真っ青に照らし出すかきつばた。たたずみ、見つめる視線に寄り添い、わたしはその誰とも思いを同じくする。2019/01/24
ちゃいろ子
46
義経の魅力いっぱいな巻。 周囲の人々が愛さずにはいられない人だったんだろうなぁ、そりゃあ、いまだに人気があるはずだと納得。 静との再会。弁慶との五条大橋での出会い(さめの息子だと、ちゃんとわかっていて追いかけさせるところなんて憎い!) 時忠との駆け引き。 とにかくわくわくしながら読んだ。 でも、これから頼朝と、、、と思うとその魅力いっぱいなところが逆に悲しい2021/05/25
シュラフ
38
時局は平家にとって厳しくなっているというのに、平家方にあるのは奢りだけ。「三代目だ、これが、平家の…なんの苦節、なんの認辱、なんの貧しさも知らずに育ってきた入道相国の孫やら甥やらだ…誇りと、奢りだけは、相国よりもつよい」という時忠の嘆きのつぶやきに胸をうたれる。飛躍かもしれないが、これからの日本は戦後三代目世代が主役。アジアの若者が日本に出稼ぎにきて牛丼屋で働く中、日本の若者はバカ面してケータイいじながらメシを食っている。おいおい大丈夫かよ。おまえら頑張らないと、いずれ立場が逆転すること分かってんのか。2017/04/15
金吾
35
義経の後の活躍の布石になる部分があり面白かったです。また俊寛の描かれ方が他の俊寛よりパンチが効いていると思いました。2023/04/06
Kiyoshi Utsugi
34
六巻は安徳天皇が生まれたところから、源義経と弁慶が五条大橋で出会うところあたりまでを描いています。 「京の五条の橋の上 大の男の弁慶が 長い薙刀振り上げて 牛若目がけてふりかかる」という歌からすると、幼少時代のことかと思ってたら、ここでは源義経が20歳の頃に初めて弁慶と出会うという設定にしてます。その時、義経は弁慶の生みの親を連れて熊野から京都に来ていたという設定で、それはまた小説としては面白いと思いました。2021/08/14