内容説明
長い文学的不遇をさか手にとり、さりげない日常の世界に、暖かく優しい眼をふりそそぎ続けた、木山捷平の飄飄人生。けちくさい世間の眼や、つまらぬ栄誉から離れた自由世界。小動物や生き物、草花や木、身近な物から見出す美事な詩。天衣無縫で無防備で、いつも傍にいてくれる“日本の親爺”、木山捷平の、主として晩年に書かれた秀逸なエッセイ集。
目次
将棋の相手
私と雨月会
時代の差異
ホウロクの味
母が形見の帯
私の五つの愉しみ
少女の鯉
暗闇まつり
日本陸軍
蜂の話〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
82
またまた木山捷平を読んだ。もうそろそろファンと名乗っても良かろう。これはエッセイ集。『わが半生記』の方は捷平さん(わし馴れ馴れしいな)が亡くなった為、未完である。しかし私小説作家であるから、小説を時系列に並べたら大河自伝ではある。このエッセイを読むとじんわり伝わってくるのが木山捷平の動物や植物への優しさ。冬には鯉が寒かろうと覆いを掛けたり、「何もしないのに向こうから刺したりしないんだ」と蜂をかばう。月桂樹や松の木への愛情、花が咲くのを楽しみにする気持ち。何だか人間の良い雰囲気を胸いっぱいに吸った気分。2019/08/12
hitsuji023
8
木山捷平の随筆集。その辺の話の面白い人が世間話をしているような印象。庭の植木の話や昔の思い出話など味わい深い。「わが半世紀」の子供の頃の病気になった時の話など、自分のことのように読んで、切なさも感じられた。2022/06/19
軍縮地球市民shinshin
8
随筆集。エッセイというより、随筆という方がぴったりだ。渋いお茶をお供にして羊羹だけでも食べながら味わいたい小品集である。2018/01/29
7kichi
2
焚火をするためにわざわざ木箱を買ってくるとは流石だ。2009/11/23
Tonex
1
「文壇交友抄」の「桜桃忌の仲間たち」は太宰治の記念碑の除幕式に行く話。伊馬春部とか檀一雄とか仲間は変人ばかり。木山捷平も飄々とした変人っぽい。/じっくり読めば面白そうだが、なんだか面倒になってきたので、パラパラ眺めて終わり。2013/09/13
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