内容説明
悲劇「サロメ」、童話「幸福な王子」等で高名な大世紀末の詩人 唯美主義、芸術至上主義を唱道した、オスカー・ワイルド。その全詩を、独自な美学を生き抜いた巨匠・日夏耿之介が、正に彫心鏤骨、優美、秀麗な訳語によって全訳した記念碑。上田敏、堀口大学らと並ぶ、日本翻訳史上傑出した訳業。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco.
18
劇・童話作家オスカー・ワイルドの詩集。才能を発揮した分野のどれもが、非現実世界の夢彼方に大切なものを書き残してきたものの如く、万華鏡を覗き見しているように、言葉は燦然と輝いている。ゴシック文学界では、名高い研究者・日夏耿之助が手掛けた翻訳ということも相俟って格調高く浪漫風。これ以上の適任者は他にない。胸を弾ませたイタリア旅行での感動をしたためた詩もあれば、逮捕されて獄中で綴った詩もありと悲喜交々。ワイルドファンや研究者にとって人間性が直接出る詩集を読めるのは、感無量だ。2015/12/02
miaou_u
3
端々から溢れ出す豊麗なオスカー・ワイルドのエッセンスを凝縮した美学に貫かれた詩世界を、余すところなく芸術至上の日本語として世に送り出してくれた日夏耿之介による雄篇の訳、これはもう、ワイルドと日夏の共同作品、と言っても過言ではないだろう。井村君江さんの解説によると、ワイルドはマクニール・ホイッスラーの絵画に影響を受けていたと書かれているが、読みながら私は、モローの絵画を観る思いで幻惑され、オスカー・ワイルドという一役者が舞台で朗読しているような感覚にとらわれる。2018/07/12
Yuzupon
1
19世紀のデカダン文学を代表するオスカー・ワイルドの詩集。初期の詩『ラヴェンナ』が読みたくて購入。絶版本なので、一冊6000円したが悔いはない。2013/07/24
龍國竣/リュウゴク
0
古典美術を堪能するような、奥深さと端麗さを兼ねた、美しい詩集。未完の詩まで網羅された分厚い詩集には、ワイルドの詩を通して日夏氏の魂が込められている。読んで美に耽るのみならず、字を眺める、その見た印象からして既に極められている。解題も読み応えがある。2012/07/28
クラシックは不滅だからな。
0
漢字の豊潤さを味わえます。