内容説明
一葉は、いつも庶民のなかにいた。そして、頭のなかでは、社会のありかたの不当さをいつも考えていた。(「人と時代」)一葉研究に没頭し伝記、評論を書き続けた作家・和田芳恵。全集の実務編纂に加わるなど基礎資料をもとに、樋口一葉十六歳から死に至る二十五歳までの日記を丹念に分析し、一葉の全体像に烈しく迫って追随を許さず、畢生の仕事・一葉研究を集大成した作家評伝の白眉。芸術院賞受賞。
感想・レビュー
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ヨーイチ
33
ちょっと一葉の日記でもと内容を確かめもせず購入したのが運の尽き。一葉の日記は古書でも高価で仲々敷居が高そう。著者のことは知らなかったが、凄い勉強というか執念を感じる。日記にでてくる人物の縁戚、行状で数ページを簡単に使ってしまう。一葉の日記が残っている、同時代人の証言も多い、生前の一葉が殆ど移動していないためこんな密度の高い追跡が出来てしまうのだろう。借金の申し込み、稿料の前借りなどを日記に全部書いていないらしい。あと人間関係の縺れもごまかしている所もあるらしい。日記ってのは油断ならない。2017/02/10