内容説明
湘南で多少の土地を持ち、家を貸して自適生活する主人公。妻は仕事で不在がち。“安全な生活”とは何か。元上司との様々なやりとりのあと、上司は妻を失う。南米、ボリビアでのバスの乗客の何の苦痛もない死―。ささやかな生活の描写の中に人生の哀歓をつむぎ出す、永井龍男独自の“美学”の結晶。『皿皿皿と皿』を併録。読売文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TakeROC
2
かねてより妻から読むように。と仰せつかっていた本著。タイトルになるコチャバンバは、短編連作でかつニュース報道および新聞記事内の話であるのだが、彼女はずっとこの話をする。当該箇所は、種々の想像を誘う素晴らしい文章なのですが、これをずっと覚えていて、今でも熱く話す事ができる妻に感心しています。私なら保って数日、他にも読む箇所が多いから、忘れてしまうかもしれません。訓練が違う事を思わされました。永井龍男の著作はもちろん初めてで、さすがの私も時代の変化で当時の心持ちのように振る舞えないよぉ。と、感想を持ちました。2023/12/19
しゅんどーん
0
城山さんが好きな本として挙げていた、湘南が舞台の短編小説。ある男の鎌倉での定年後の生活が描かれる。道楽の料理など、ささやかなプライドにしがみついた等身大の姿は、不快なのと同時に共感も覚える。2022/03/24