内容説明
脳軟化症の妻は“私”を認識できない。―何度目かに「御主人ですよ」と言われたとき、「そうかもしれない」と低いが、はっきりした声でいった。50年余連れ添った老夫婦の終焉近い困窮の日常生活。その哀感極まり浄福感充ちる生命の闘いを簡明に描く所謂“命終三部作”ほか、読売文学賞受賞「一条の光」、平林賞「この世に招かれてきた客」など耕治人の清澄の頂点六篇。
脳軟化症の妻は“私”を認識できない。―何度目かに「御主人ですよ」と言われたとき、「そうかもしれない」と低いが、はっきりした声でいった。50年余連れ添った老夫婦の終焉近い困窮の日常生活。その哀感極まり浄福感充ちる生命の闘いを簡明に描く所謂“命終三部作”ほか、読売文学賞受賞「一条の光」、平林賞「この世に招かれてきた客」など耕治人の清澄の頂点六篇。