内容説明
蝸牛庵・幸田露伴との若き日の出会いから、その凄絶、荘厳な終焉の日までの“日常”の比類なき記録。該博な知識、不羈の精神、巨大な文学空間を展開する“文豪”露伴の、慈父のごとき姿をあざやかに捉える、小林勇のエッセイ文学の名著『蝸牛庵訪問記』。
目次
記録第一頁
最初の訪問
新しい蝸牛庵
蝸牛庵の庭
書店の名
全集
日本文芸叢書
釣
天文学者
料理・玉突き
雑誌・雉酒
十和田行
注射
渋谷栄一伝の約束
将棋
易・茂吉〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
朝日堂
16
幸田露伴先生の忠実な番犬(怒られるなあ)小林勇の覚書。文章が走り書きをそのまま載せたようなひどさで失笑してしまう。しかし、地の文のひどさ故に露伴の言の花が際立って綺麗に映るのだから、ともすると小林はやはり一流の出版、編集のプロフェッショナルだったのだろう。それが証拠に現代の「岩波」を作ったのは他ならぬ小林勇である。さて露伴先生の言葉「雑誌に何か書いてくれというので、たった一頁のことを断わるのも変だと思っていたが、■(たずねるに)というような字ではじめた文章でも書いてやれば…」■の字がどこにも見当たらない。2013/07/09
iwasabi47
2
露伴の蘊蓄話も程々に、よく酒飲んで愉しそうな様子。家族に苦労している。体弱ってからはやはり寂しい。2020/10/06
isbm
1
★★★2024/12/09
rbyawa
1
k020、岩波書店の娘婿としてもちょくちょく名前が出てくる彼が幸田露伴の弟子とはどういうことか? と思ってたらこう…押し掛け弟子は聞いたことあるけど、お気に入りすぎて勝手に弟子扱いにしてたのとか始めて見た…。ただこの人、三木清もほぼご指名だよね…(というか岩波書店から独立して困ったことがない、皆オッケーって受けてくれる…実際、困らんだろこれだけ著名人揃ってれば)。あと戦時中に逮捕されていたのは聞いていたが露伴が手紙を出し、「こんな手紙を書かれる君は只者ではない」と「この手紙下さい」と…検事公私混同では…。2020/03/07
sanga
0
朴訥な文章ゆえにリアル。幸田露伴に興味のある人はおすすめ。2013/06/02