内容説明
明治百年、〈東京〉という地方性の崩壊過程を辿り、地図・文学作品・流行歌を通して、〈東京〉に絡む日本人の複雑な心理を抽出、対象化し、都市先住者の側の眼で、日本の近代化の“軋み”とその象徴と東京の呪縛力を解明。名著『永井荷風』の前史として、近代日本文学史の根底を激しく揺さぶった画期的「東京論」。芸術選奨受賞。
目次
思想としての東京
補論・文学史の鎖国と開国
感想・レビュー
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AR読書記録
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“文学史”としては、執筆された時点を到着点としていて(その先も予見しているが)、やはり時が経ちすぎてスムースに飲み込みがたいきらいはあると思う。が、サブタイトルに文学史論とつきつつも、そのベースを見据えた社会論・社会史みたいな面が強くて、“東京”の成立と変容や日本人の心性に関して新たな認識を与えられる点は多い。あとここメモ。「小沼丹の『椋鳥日記』が私小説の言語でロンドンを描いてぴったりと収まるのにたいして、今日の東京は、近代日本が地肉化した私小説の言語によってはもはや描けないということである。」2014/08/30
396ay
0
日文図書室にて。近代の家制度について書いてあるって見て読んだけどそんなに…?2020/12/04
Lieu
0
短いが、内容の詰まった、論旨明解な本だ。戦前の東京の地図は、北ではなく、山の手のある西を上にしている。本書はその発見から、通史的に「山の手」と「下町」、「東京」と「地方」の複雑に入り組んだ関係を見ていく。この関係性は、平成、令和で、どう変わったのだろう。2020/02/02
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