講談社文芸文庫<br> 暗い絵・顔の中の赤い月

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講談社文芸文庫
暗い絵・顔の中の赤い月

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  • サイズ 文庫判/ページ数 357p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784061960435
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

“生命の自由の羽ばたき”を信じ、自己の全存在を賭けて、惜しげもなく散っていった京大左翼運動の仲間。彼らの心の闇を喚起した奇怪なブリューゲルの絵の世界―、戦後初期の文学界に衝撃をあたえ、戦後文学に燦然と聳立する「暗い絵」「顔の中の赤い月」「崩解感覚」など、野間宏文学の特質を顕示する初期作品群。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

loanmeadime

16
そればかりでもないのですが、あまり読めていない「戦後文学」の穴を埋めようかと考えて第一弾として読みました。前六篇。作者デビューの『暗い絵』は獄死なんていうシンドイ言葉が出てきますが、自分自身に対する不満と社会制度に対する憎悪を真正面に見据えつつ、恋愛は恋愛として中心的な関心事という青春小説と呼べる内容だと思います。厭な穴が見えるブリューゲル作品はどれか、よく判りませんでした。首を吊ったままの死体のそばで、あれこれ考えを巡らす『崩壊感覚』のシュールな味わいも良かったです。2025/04/12

かえで

6
戦後派文学を代表する作家でありながら、現在全くもって無視されている野間宏さん。現在、気軽に本屋で入手できる著書はこれだけであり、あとはほとんどが絶版。代表作の真空地帯も絶版だ。その現状には、日本の出版界の廃れが感じられる。これは、野間さんのデビュー作を含む初期短編集である。すべての作品が戦争終了直後の異常な時代を切り取って書かれたものである。初期と戦後の異常な空気感のため、文書の粗や物語の破綻もみられるけど、勢いと戦後という時代を見事に伝えた作品たちは力強く引き込まれる。表題作の2作がやはりいい。2012/05/14

かに

5
戦争を経験した者にしかわからない、戦争や軍隊生活が戦後やその後の生活にどのような影響を与えるのかがとても悲しく切ない。 生死に対して、人生に対して、他人に対して虚無感を持ってしまう戦争の影響は恐ろしく、戦争でのトラウマがその後の人生に影響を与えてしまう戦争というものは本当に恐ろしいものだと感じる。戦死した方、戦後を生きた方双方に苦しみがある。2023/04/18

肉欲棒太郎

4
『崩壊感覚』これは素晴らしい。人間の「肉欲」の問題に正面から取り組んでおり、埴谷雄高の『死霊』は結局そこを避けた。戦後の虚無感や人間のエゴイズムについて書かれた『顔の中の赤い月』『残像』も良い。『暗い絵』は正直あんまりピンとこず、何となくだけど、この作家は戦時中よりも戦後を書いたものの方が面白いんじゃないかなと。2017/03/20

ヒラオカキミ茸

4
読めば読むほど面白くなってきちゃうから、最初は、進まない…。と思ってたのに最後には、もう読み終わっちゃう、もったいない!てなる。2012/09/08

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