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内容説明
世界最大を誇る超弩級戦艦大和が、いま大海原に乗り出していく。同行は8隻の駆逐艦と巡洋艦1隻のみ。護衛艦載機ゼロのまる裸の出撃なのだ。海上特攻!まさに「われらかく戦えり」という帝国海軍の意地をかけた戦争終了をめざす突撃だった。前途には沖縄に孤立する人々の熱い期待があったのだが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
19
戦艦大和の海上特攻、沖縄本島、本土空襲、対ソ和平調停、広島、ソ連の参戦、長崎、国内での終戦工作、そして御聖断と綴られてゆく。それぞれは微に入り細に渡りというものではないが、ここだけは押さえておくほうがというものはきちんと記されている。その後、あの戦争を詳細に書いた本は多数でているが、この作品は今でも一級の作品であると思う。本書では触れられていないが、二・二六事件で凶弾に倒れ、一時心拍停止に陥った鈴木貫太郎が終戦の鞭をつけたということに運命を感じる。銃弾は耳の辺りを貫通したためいつも耳鳴りがしていたそうだ。2015/10/07
タッキー
13
沖縄では当時の指揮官が、最後の戦いに臨む際の決別電報が多く出てきますが、申し訳ない気持ち、愛国心が偲ばれる内容で、悲しい気持ちになりました。そして原爆。著者は人を殺し合う戦争が行われているのだから、高度な兵器が使われるのはやむなしとの意見。戦争そのものが良くないということなのでしょう。そして思ったのは、戦争を始めることの簡単さに比べて終えることの難しさ。原爆を落とされてさえ、なおポツダム宣言の受諾に逡巡する幹部や軍の将校たち。そう思うとウクライナ問題もなかなか治らないのかなあとそんな気持ちにもなりました。2023/04/29
後藤だいすけ
6
女性や子供までも槍を手にして立ち向かうという惨烈極まる沖縄戦は一般人までもが玉砕、自決と悲壮な屍を積んでいく様にもう言葉もありません。怒濤のごとく米軍の爆弾が襲う本土空襲。そして人類最大最悪の悲劇、広島に原爆投下。戦争という対立感情と憎悪感情のエスカレートが行き着く先は残酷極まる人類大量殺人。もう人間の愚かさの極みの何物でもありません。そしてソ連の参戦。四面楚歌の日本は国体護持のみを留保条件にポツダム宣言受諾。やはり開戦前の世界情勢や終戦後の日本と世界をもっと勉強しないと戦争は語れないと思いました。2014/08/20
ながと
4
まず、最初にこの戦争を書くべきは、吉川英治氏こそがふさわしく、自分では力不足だと一巻で書かれていた。しかし、その力量に不足なし。 子供のころから戦艦大和の最後に何度涙をながさせられたことか。 そもそも、私の歴史好きは、山岡先生が子供向けにかかれた「ふくろうの本 太平洋戦争シリーズ」から始まっているのだから。 2011/09/10
ゲンゲン
3
国民、否、人類の安寧を常に願っておられる陛下は昨今の震災においてもご自身のお住まいで自主的に停電なされたそうだ。一体どれだけの国民が私心を捨て被災者の痛みを分かち合っただろう。衷心、頭が下がる思いである。ただ残念ではあるが戦後教育を受けた私はここに描かれている兵士や非戦闘要員のように陛下のために命を捧げるような考えにはどうしてもなれない。戦前の人達の国体護持に対する思いを理解できない以上、著者の描いた太平洋戦争を完全に理解できない部分が残念でならない。戦艦大和の出港の下りは背筋を正さずにはいられなかった。2012/01/26
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