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- > 講談社 山岡荘八文庫
内容説明
開戦当初のはなばなしい戦果に酔った日本軍も、しだいに苦境に追いこまれる。山本五十六の「緒戦は勝つが長びけば…」の言葉は、現実となりつつあったのだ。ミッドウェー、ガダルカナル―日ごとに疲弊の度を増す戦力をかかえて、軍隊という巨大組織の統率者は、また兵士は、いかなる戦争を闘ったか。太平洋戦争全史を描く大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
39
神の国、皇軍であるとういう爛熟した認知に、日本人はかつて無い激烈な痛みを経験する。真珠湾、フィリピン、マレー、シンガポールと連戦連勝、いや、日清日露の戦勝からの油断と傲慢が、索敵、諜報、十二分の考察を怠り、贔屓なく当時世界最強だった空母群をミッドウエーで失う。また、その制空権、制海権を失ってなお、ガダルカナルにて無謀な攻略を図に描き、いたずらに自国の人間を殺していった。もはや戦争ではない。地上に顕れた無間地獄。当時の盲信は、今も原爆投下、終戦の日に決まりきったマントラを唱えるだけで、完治すると思っている。2023/08/29
イプシロン
20
ミッドウェイ、ガダルカナル。これまでの幾冊かの本で両作戦の詳細を知っていても、読むのが辛い。3巻から9巻まで、読者も地獄絵図を見続けるのだという覚悟が必要。卓上の空論、現場を知らない上層部、頭でっかちな参謀や将軍の自己保身。どれも悲しいくらいその後の日本政治に見えるもの。その最たるものが、責任の不在であろう。ミッドウェイ、ガダルカナルで惨敗を喫したことで責任をとったものはいない。むしろ栄転昇進している。冷静で沈着な判断をすれば左遷され閑職に追われる。組織悪、人間悪を暴いていく筆に忸怩たる思いが迸っている。2015/10/04
Takashi Takeuchi
8
勝ち目のないことを承知の上で臨まざるを得なかった戦争だったが、、緒戦の連勝で慢心し致命的なミスから大敗を喫したミッドウェイ、ガダルカナルの戦いを描く3巻。ここから流れは変わり戦争は泥沼に。反面教師として学ぶことの多い日本軍部だが、今村均の蘭印軍政と八紘一宇の考えには前向きに学ぶところあり。2021/08/22
ambi@oita
6
本書の肝はミッドウェー海戦の章と、今村均中将の功績について。その時点では日米の戦力は同等か日本が上回るとされていたミッドウェー作戦にも関わらず、なぜ、一瞬にして、日本敗戦を決定したと言われる程の大敗北となってしまったのか。今村中将の平和的ジャワ軍政に対し、陸軍省の威武をもって統治せよの干渉への非服従、約二万人もの犠牲者を出したガダルカナル戦からの撤退への計らいなど、彼の信念と生き方はまさに社稷の臣であり、非常な感銘を受けました。今村中将の書籍があれば読んでみたいです。2013/07/31
yokkin
4
ミッドウェー、ガダルカナル2つの哀しい戦場が舞台だった。連戦連勝だった皇軍はここから崩れていくのか。夥しい犠牲が発生した。次巻からは、さらに読み進めていくのが辛い。2024/11/07