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- > 講談社 山岡荘八文庫
内容説明
世をすねる。そんな思いが確かにあった。だが巨星徳川家康のひたむきな姿に接したとき、宗矩の眼は豁然と開けた。この日、迷いは木端微塵に砕け散った。文禄3年(1594)5月3日、家康が父石舟斎に入門した日が、又右衛門宗矩の新たな求道への旅立ちの日でもあった。剣禅一如をなし遂げた男の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
37
大河ドラマ「春の坂道」の原作で、文庫は4巻となっています。 最初の1巻は、柳生宗矩が石舟斎に連れられて、徳川家康と初顔合わせをするところから、豊臣秀吉が亡くなるところまでを描いています。 冒頭の「笠置山から峰つづき、南方二キロの柳生の里まで、…」というのは、先日自分でも歩いてみて、確かにその通りと思いました。 柳生の里には、十兵衛杉というのがあるのですが、この本の中では、宗矩が徳川家康に会いに行く前に植えたとされています。ひょっとしたらもう一つ杉があるのかもしれませんが…2023/03/03
Willie the Wildcat
20
家康と石舟斎。教育と武道。道は違えど目的は共通。”人間”以上に、”器”に惚れ合った気がする。「宗矩」の観点では、石舟斎との親子・師弟関係。師弟であるが故の行き違い。家康への”無刀取り”実演が印象深い。そして、その意味。根底にある愛情、そして尊敬の念。だから言葉は要らない。同じ道を生きる親子の醍醐味とも言える。序盤の楽しみは、宗矩の感情の変化に垣間見る成長。一方で、宗矩の人間形成の礎となる幼少・青年期を知りたいものだ。次巻以降なのかな・・・。蛇足だが、文化的には「二枚櫛の女子」。当時の格差を垣間見る。2013/04/21
どらんかー
3
混乱の時代だからこその活人剣、学問と深く沁み入ります。この時代に於いても暗闘が凄まじい。2021/06/12
あき
2
『柳生石舟斎』に続いて読む。家系図でまず、宗矩が晩年の子なのにさらに下3人娘がいて驚き。家康の下に向かうことになった経緯が異なっている。違うことは構わないのだけれど、石舟斎の方が好みかな。でも会見前に家康を覗き見して「学問によって人間を作り変えねば戦乱の世は終わらない」と石舟の「武道によって人間を作り変えねば戦乱の世は終わらない」と目指すところが同じところに気づくエピソードは好き。黒田長政にも興味がわいてきた。おみい。沢庵。2017/01/22
山更幽
2
著者には判官贔屓ならぬ、家康贔屓という癖のようなものがある。とにかく家康が好き。今回の家康は濃縮された聖人君子。気高い気高い。それに主人公柳生宗矩が感化され、戦のない社会を目指して粉骨砕身、悪戦苦闘しながら成長していく姿が、計4巻にわたって描かれている。正直、鼻につくし、無理がある。でも面白く、次々読んでしまうから不思議だ。権謀術数に長けた非情な家康と宗矩が好きだが、たまにはこういうのもいい。2016/03/08