内容説明
「黒人はこの村には、もう住めないんだって。新しく白人の村をつくるから。」白人の家に住みこみではたらくママが帰ってきた日、幸せな気分で遊んでいたレベッカは、親友ノーニがつぶやいたことばに、心をおしつぶされそうになった。政府から立ちのきをせまられた村に住む一家のすがたをとおして、人種差別をうける南アフリカの人々の悲しみと怒りを、しずかにえがいた秀作。小学四年生から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gummo
24
舞台はアパルトヘイト下の南アフリカ。新しく白人の町を作るからと政府に立ち退きを迫られる村に住むある少女の眼を通して、政府の横暴さと狡猾さ、そして黒人の苦難と怒りを描く。アパルトヘイトが子供たちの本来自由で伸び伸びとした心をどれほど狭くて歪んだ枠に押し込めてしまうことか。それは黒人のみならず白人の子供たちの心まで歪めてしまうのだ。しかし、明けない夜がないように、悪夢はやがて終わりを告げる。少女がこれから歩む道は依然として平坦なものではないかもしれないが、大いなる希望の光に照らされているに違いない。★★★★☆2014/01/04
ジュースの素
5
南アフリカの黒人差別に立ち向かう黒人たちの長い戦いの話。 白人に立ち退きを命じられてそれに反発して何度も集会を持つ黒人たちだが、表に立つ者何人かが逮捕されてしまう。9才のレベッカの目から見た社会の矛盾を描く。2015/08/09
ヤウィダー
0
町みんな白人に追い出されて、主人公の友達の家族はパファダー谷に行ってしまった。 主人公の友達のおばさんのミリアムだけが帰ってきて、そこはすごいいいところだと聞いていたが、本当は電気もとおっていないすごく悪いところだと話した。 村のビック=アルバートという村長がデモの集会をしている間に、つれされられた。 最後に主人公が、ジャカランタの木の下で、ビック=アルバートや友達の家族が帰ってくるといいなと思いながら待っているところが、とても切なかった。2013/04/20
のん@絵本童話専門
0
南アフリカのアパルトヘイトを描いた作品。レベッカの住む村は、白人のための村にするからと突如立ち退きを迫られる。親友はすでに退去し、レベッカの家族はそこに留まり、反対演説に関わったとお父さんは投獄される。世界的にアパルトヘイトが注目されていた時期のため、お父さんは酷い目に遭わないと信じたいが…不安なレベッカ。比較的高級取りの仕事は白人に仕える仕事なこと、レベッカが白人のお人形を大事にしているも捨てろと迫るジョンなど、所々社会事情やそれに伴う複雑な感情を描いている。中学年〜2024/08/07
katariha
0
主人公を支える家族に胸を打たれる。2024/02/29