内容説明
聖と俗、光と影が織りなすバロックの世界。ベラスケス〈ラス・メニーナス〉ほか6点のバロック名画を収録。
目次
フランス、スペインの17世紀
ラス・メニーナス―絵という終りなき迷路の旅 ディエゴ・ベラスケス
葡萄とメロンを食べる二少年―交錯する聖と俗を描いた画家 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
悔悟するマグダラのマリア―暗闇の光と鏡、そして静寂 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
マナの収集―人類救済のドラマ ニコラ・プッサン
シバの女王の乗船―陽光に輝く永遠の瞬間の風景画 クロード・ロラン
王の親政―1661年―豪壮華麗な天井装飾 シャルル・ル・ブラン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
264
この巻は「フランス、スペインの17世紀」。幾分か様相を異にしたバロックなのであるが、白眉はやはりベラスケスであろう。巻頭はその代表作「ラス・メニーナス」。中央で光を一身に受けるのが王女マルガリータ・マリア。その周囲に女官たち。さらにその周縁はしだいに暗くなり、最奥部にベラスケス、壁の絵にはフェリーペとマリアナ。集団肖像画なのだが、確かに不思議な絵ではある。後年、ピカソがこの絵のヴァリエーションを何枚も描いているのだが、それだけ強く惹きつけるものがこの絵にはあるのだろう。2023/06/04