感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
8
副題にはハンニバルとあるがあまり書かれてない。どちらかというとローマの敵だったほうがメインで、イベリアのウィリアトゥス、小アジアのミトリダテス、ガリアのウェルキンゲトリクスなど。帝政前の話で共和制時代のことを書いている感じです。実際の戦のことは全然詳しく書かれてない(カンネーとザマの布陣図がちょこっと)。イベリア半島での戦、アフリカのヌミディア騎兵の帰趨のことなど他書ではサラッと流されることがよく書かれていた点は良かった。凱旋式に宗教的意義とかあったのか。。。2018/07/08
ピオリーヌ
7
世界の戦争シリーズ全十冊の二冊目。昭和60年の刊。吉村忠典、栗田伸子、本村凌二、田村孝、市川雅俊、毛利晶らそうそうたる執筆陣。第二次ポエニ戦争においてローマ人を不安にさせ、憎悪に駆り立てたカルタゴ軍、とりわけヌミディア人、マウレタニア人に対するローマ人の強烈な差別意識が語られる。そこには馬におもがいや轡も付けずに、どの種族よりも巧みに裸馬同然の馬を乗りこなしたヌミディア人への抜きがたい恐怖心があるのだろう。シュファクス、マシニッサをめぐるカルタゴ、ローマの争いは改めて面白い。2020/12/20
フェイ
4
副題を読むとハンニバルやカエサル主体のように見受けられるが、そんなことはなく、戦争を通じて共和制ローマの政治制度を解説しているといったほうが正しいだろう。このため、ローマが経験した戦争の一つ一つを解説していると思ってはいけない。布陣図があったのはカンネーとザマぐらいである。 ただ、他の本ではあまり言及されない部分が書かれていたことも確かである。イベリア半島における対ゲリラ戦や、戦勝後の凱旋式に込められた政治的・宗教的意義などは、本書で初めて知った。位置づけは難しいが入門書ではなく深く知りたい人向けだろう。2015/07/25
印度 洋一郎
1
書名からはポエニ戦争中心かと思いきや、そんな基本編ではなく、第二次ポエニ戦争時のカルタゴの同盟者ヌミディア人(現在のベルベル人)の去就に見るローマ人の異民族への視線と国内の階層対立のリンクなど応用編といえる内容。他には共和制末期(紀元前1~2世紀)の小アジアやガリアでの異民族との局地戦に「拡大するローマの支配」を見たり、軍政の変遷に王政から共和制へ変化するローマ社会の構造を見るのは「軍隊は社会、国民の縮図」という感じ。又、対外戦につきものだったという指揮官の凱旋式の社会的重要性なども興味深い。2022/11/23