出版社内容情報
水木 しげる[ミズキ シゲル]
著・文・その他
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
160
戦争体験者、水木しげるが描く戦場。俺は水木しげるの絵が昔から好きで見ていると何か精神が安定する。つげ義春の絵も似ているところがあって同様に好んでいる。漫画ではあるが戦争のバカバカしさが良く伝わってくる前半パート。雲行きが怪しくなっていよいよその時、「総員玉砕せよ」の命令が下り総員敵中に突撃、無意味な死を遂げる後半パートの悲惨さ。玉砕を見届け報告せねばならんと自らは玉砕に加わらず逃げようとする参謀。死屍累々の惨状を執拗に描いてものがたりは終わる。好きな水木しげるだが、寝る前に読むものではなかった。2021/11/03
夜間飛行
112
ビンタばかりしているけれど優しい所もあった鬼軍曹が味方の誤射で斃れた。何のために戦うのか? お国のため? 本当にそうか? 慢性的な飢餓に晒され、たいした原因もなく死んでいく兵士達を見ているとわからなくなる。その苦しみや犠牲が国を支えることを保証してくれるのは、天皇か、政府か、日の丸を振って見送った群衆か? しかし彼らは何も見ていないではないか。誰がどこで死ぬかわからない戦場で、兵士は声なき道具に貶められる。何か非合理的な目的を見出すしか人間としての自覚を保てない。狂気に駆られるように、玉砕命令は下される。2013/11/24
TCD NOK
109
太平洋戦争末期。日本の戦局は敗戦間近のところまで来ているのに、舞台は本土から遠く離れたパプアニューギニアのニューブリテン島。これまでの戦地と違い、天国のようなところ・・・いや、そこは本当に天国に行けるところだった。本編の主人公丸山は、水木しげる先生がモデル。ご存知のように実際は水木先生は生き残るが、丸山二等兵は、玉砕し損ねてもはや存在していてはいけない部隊として再度突撃する。丸山に最後のセリフを言わせて、戦争の悲惨さ不条理さを伝えたかったと思う。最後の突撃前の「女郎のほうがなんぼかマシだぜ」も切なかった。2019/02/26
えちぜんや よーた
108
兵・下士官・下級将校は生きていたら使役や戦闘で消耗させられ、死んだら死んだで「神様にさせられる」。命や国よりもフィクションや体面の方が大切なんだなぁ、エラいひとたちは。だから戦争に負けたんだけどね。上が無理に取り繕ったら、下がとんでもない目を見る典型例で、戦争が終わった現代でもこういう理不尽なことは日常茶飯事だと思う。2017/04/04
寺・ゴールデンベスト
104
玉石混淆の水木しげるの膨大な作品群からベストテンを選ぶとしたら、必ずこれは入るであろう。近頃話題の応仁の乱はヒーロー不在と言われるが、本当にヒーロー不在なのは太平洋戦争に他ならない。この漫画も見も蓋もなくヒーロー不在。死守する必要も無い場所の為に玉砕を強制される兵隊達。階級の支配する不快で空腹な集団サバイバルと塵の様に軽い人命。私はこんな環境に入るのはごめんである。女の集団特有の厭さがある様に、男の集団の厭さがここにある。歴史的不幸が規則的なコマ割りで淡々と進む物語。凡庸な感想になるが、つくづく戦争反対。2017/06/23




