内容説明
昭和二十一年が明けて間もなく、恩田幸吉の一家は、勤務先の淡路島から彼の故郷である九州宮崎へ旅行した。戦死した長男の遺骨を、故郷の寺へ納めたいというのが幸吉の強い希望であった。妻、次男、三男、末娘と、総勢五人の家族旅行は、この時代においては無謀とも思えたが、幸吉はなぜかこだわった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブラックジャケット
16
不世出の作詞家阿久悠、小説もかなり書いているのだが、「瀬戸内少年野球団」が突出して有名で、他はイマイチか。それでも本作は自伝的要素が入った好著だった。終戦直後、淡路島で駐在をしている恩田幸吉とふじの一家に、戦死した長男の遺骨が戻って来た。頑固一徹の幸吉は、故郷の宮崎の寺に納骨をすることを決めた。終戦から半年後の混乱する交通機関だが、一家五人は納骨の旅を始める。遺骨を持つのは三男の圭太。次兄の恋愛あり、遺骨の謎あり、ロードノベルにして、終戦直後の生き生きとした群像劇となった。ちょっと堅い題名で損したか。 2023/09/20