講談社文庫<br> さして重要でない一日

講談社文庫
さして重要でない一日

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  • サイズ 文庫判/ページ数 230p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061854321
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

『社内局』経由で配付した会議用資料を回収することになったかれ。ところが『社内局』とはいったい何なのか、どこにあるのか、だれも知らない。たった一人、会社という迷宮をさまよう羽目におちいった困惑の一日―。一九八九年度の野間文芸新人賞受賞の表題作と芥川賞候補作『パパの伝説』を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りつこ

15
わー、なんか分からないけど好き好き。表題作は会社の空気を非常にリアルに伝えている。うちの会社は大企業じゃないし自社ビルでもないから知らない組織とかコピー機の墓場とかないけど、それでもこのカビ臭い感じはとてもリアルだ。踏み込まない、感じない、スルー力が会社員には必要不可欠だな…。「パパの伝説」は脱力系の横溝正史のような、そうでもないような、じっとりとしていながら軽妙という独自な世界。面白かった。2014/05/23

ネムル

8
会社の部署や人間同士のいざこざを表面に押し出すことなく、水面下で幾重にも張りめぐらせている、そのくすぐるような筆致が楽しい。というか、ものすごく怖くもあるが。くすぐるといえばピンチョンに対するウインクもあったりして、小さな物語の割に懐は深い。2012/06/15

もみち

6
【図書館】大学課題。中編二本。掴みどころのない話。どちらも私の好みではなかった……。『さして重要でない一日』チョットぞっとする。『パパの伝説』伝記執筆を頼む、というのが又吉直樹の『火花』を思い出させた。2017/12/08

エドワード

4
この小説は私が大手の印刷会社に勤めていた頃を思い出させてくれる。その会社は工場と事務所棟がつながっていて、まるで迷路だった。朝からインクの匂いのする工場の中をぬって出勤。当然フレックスタイム。社員食堂も工場と一緒。外回りが多くてたいてい夕食に使っていた。プレゼン。外線電話。喫茶店でサボリ。同期の飲み会。社内便が間に合わなくてタクシーで届けるお間抜け。そしてコピー室。ありましたね!繰り返す重要でない毎日。それが1989年ののどかだった新入社員のかけがえのない想い出だ。2012/04/26

ozoyu

3
会社の怖さと不思議がよくわかる作品。自社ビル持ってる会社に勤めた人はうんうん頷いちゃうんじゃないかな。私は前職時代を思い出した。いつの間にか特定の部署の社員から嫌われたり、謎の制度があったり、地下に仮眠室やシャワールームがあるという噂があったり、多分似たようなことはどこの会社にもあるのだろう。けど、そんな小さなエピソードをよく小説にできるなぁ。すごい。2012/06/06

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