内容説明
酷寒の異境、広大なソ連邦の全域に広がる収容所に、日本兵と民間人60万人が虜囚として強制労働に服した。その隠された実態を、新資料を駆使し、また「最後の証言者」を訪ねて明かす。死者・生者ともに心癒やされぬ歳月と空白の現場が、ついにあらわれる。民族の悲劇に新しい歴史の光をあてたドキュメント。
目次
ソ連参戦
流浪する邦人
“捕虜”輸送
強制労働
民主化運動
エピローグ・さまざまな影
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつや
6
体験者の証言を丁寧に集めて構成されたノンフィクション。シベリア抑留の過酷さというのはなんとなく聞かされてきて、この本でももちろん語られるところだが、それよりも収容所での「民主化運動」と呼ばれる赤化洗脳教育の実態に衝撃を受けた。こういうのってTVとかであんまり取り上げられないよなあ。不思議だなあ(棒)。日本人の抑留者を日本人の共産主義者が苦しめるという、なんともやりきれない話。帰国する船の中で逆に私刑を受けたってのもまたやりきれない。洗脳された抑留者の内いくらかは洗脳されたまま日本で活動したのだろうなあ。2019/04/22
wei xian tiang
3
涙なしには読めない、不条理と人間性破壊の記録であるが、国家としてのソ連や収容所当局の傲慢さはともかく、個人としてのソ連人の純朴さを称賛したり、民族差別が驚くほどないことを特記する手記が多いことが興味深い。後者はさもありなん、タタールやブリヤートを始め無数のアジア民族を取り込み同化して来た露助民族史の延長線上の話だから。2016/05/25
かしまさ
3
現在98歳の祖父がシベリア抑留兵だったってことを中学生くらいの時に聞いたことがあって詳細を知るため。2016/03/29