内容説明
テクノクラートとして徳川家康を支える長安は、信望を集める人格と有能さゆえに兼任する要職、そして金山改革による財源把握を妬まれ、政敵に狙われ始める。老いた家康に代わって、天下を取ろうと工作を始める長安の野望と起死回生の賭けの成否は。謎の多い人物を緻密に描き新しい光を当てる歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
6
上巻で滅私奉公で順調に出生したのに対し、下巻で野心が芽生え空回りして凋落していくのは面白い。家康が耄碌したように見えたのは演技だったのかどうか、わざと曖昧な書き方はしてるんでしょうが、それにしても陰険。本多親子が首謀かなと思ったら本作では違う。長安の子たちも優秀だから嫉妬するのもわかるが、それにしてもえげつない。歴史ものは結果がわかっているから後が読めますが、フィクションだったら先が見えないのでより面白いんだろうなとちょっと思いました。耄碌した長安も見えて若干萎えましたが、全体的に面白い作品でした。2017/07/04
半兵衛
5
結局大御所は狸だった。どこまでが彼の演技だったのか?前半の盛り上がりは楽しい!が終盤のお国が踊るシーンが読んでいて辛かった。一気に興隆があったものは一気に凋落するものなのか。混乱期にしかここまでの英雄は出てこないんだろう。描き方は淡々としておりつまらないといえばつまらない作品だけど、ここまで精密に長安の事が分かる小説もないと思うので蔵書にします。「御所柿は独り熟して落ちにけり、大蔵の前で拾う長安」2014/01/21
Aki Oba
1
上巻が面白かっただけに、尻すぼみ感がハンパ無かった。2013/07/16