内容説明
洪武・永楽と栄えた明もやがて北虜南倭の禍、宦官の跋扈、党争の表面化などにより減びの時を迎える。後を襲ったのは清。康煕・乾隆の黄金時代を現出するが、栄華の〓をついてアヘン禍が衰運を呼ぶ。―波乱の歴史を豊富な史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国5千年の歴史シリーズ。
目次
明から清へ(紫禁城時代;西洋取宝船;ティムールの西城;永楽以後;土木と奪門;北虜;明と日本;宮廷の日々;乱民と逸民;天風に下る;万暦の坂の下;億兆離心)
清朝二百余年(ヌルハチ起つ;満洲八旗は征く;帝国への道;紫禁城のたそがれ;黄雲蔽う;円円曲;創業の時代;南に吹く風;兵馬の後;三世の春;日は西に傾く)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akihiro Nishio
13
本巻は明代から清の建国、そして忍び寄るアヘン戦争まで。明にはほとんどまともな皇帝が出現せず、官僚の腐敗も著しかったが、代わった満州族はヌルハチ、ホンタイジ、ドルゴン、康煕帝、雍正帝、乾起帝とすぐれた指導者が続く。金の時代もそうだったが女真族は政治が上手ですな。結局、漢民族は戦争と政治はほとんど駄目だが、商売と文化活動は得意という珍しい民族ですな。本巻読了でいよいよあと1冊を残すのみ。2016/04/25
smatsu
4
明から清王朝の成立期まで。明は歴代王朝の中でもどうも印象が悪い王朝でせっかくの鄭和艦隊も成果を残せず、歴代の皇帝も微妙な感じだったりして碌な歴史を残してない。著者も中期以降はかなり厳しい評価をしているようだ。一方後を継いだ清朝は歴代皇帝にもスケールの大きい人物が出て結構な大帝国を築いたのに三国時代以前や唐宋みたいに話題にならないのはちょっと気の毒な感じがする。皆大好きチャイナドレスは漢民族ではなく満州族の文化だがその点は忘れられてデザインだけが中国文化扱いで残っている。2025/04/05
鴨の入れ首
2
本巻は明の永楽帝時代から清の乾隆帝時代まで。明は(比較的)英明な皇帝ほど短命で、暗君ほど長生きということもあって、かなり暗い色調で語られていました。ティムールやヌルハチなど同時代の異民族の動向にもかなり詳しく、読んでていてとても興味深かったです。清の乾隆帝の頃から来るべき西洋世界との衝突を予感させつつ、最終巻へ。2025/05/01
つきの
1
明の全盛期から滅亡、そして清の勃興から全盛期まで。明朝は、同じ漢族王朝である宋(南宋)に比べるとどこか陰気な感じがしてあまり好きになれなかった。滅亡に際して国に殉じた烈士のエピソードもパッとせず、当時の漢人からもあまり愛されていなかったのかと思った。清に関しては、明末の勢力拡大から康煕・雍正・乾隆期の全盛が描かれた。ページの都合か、他の王朝と比べてかなり駆け足だったのが残念。2023/04/14
かみかみ
1
明の永楽帝の時代から清の乾隆帝の時代まで。明を起こしたのは洪武帝こと朱元璋だが、建文帝から帝位を奪取して北京に遷都、その後の王朝の基本構造を定めたのが永楽帝であると考えると、彼は第二の創業者と言えるかもしれない。ティムールやヌルハチに関する事績も結構詳しい。他にも著者が明代の各時期の陶磁器を手掛かりに、当時の時代背景や歴代皇帝の力量を考察していた点が興味深い。2019/05/20