内容説明
サハラ砂漠は東西7000キロ、横断するルートは皆無で、途切れ途切れにあるオアシスの点と点を結ぶしかない。この前人未到の熱砂の海に、一頭のラクダとともに単身で挑んだ上温湯青年。だが不幸にも、思い半ばに22歳の孤独な青春に幕を閉じた。苛酷な旅の中で、人間の極限を生き、凝視めた青春とは。
目次
サハラが俺を呼んでいる(アフリカ第一歩;わが友、サーハビー)
サハラ横断への挑戦(サーハビー、さあ、出発だ!;水はあと一滴しかない;“幻の都”トンブクツーへ着いた!;孤立無援、もう一銭もない;サーハビーが死んだ!)
挫折そして再起へ(旅は終わりだ、傷心と絶望の涙が…;俺は本当にサハラに敗れたのか;ラゴスの苦悩、再起の日々)
死への旅立ち(俺は命あるかぎり、お前に挑む!;サハラ砂漠に燃えつきた愛と死)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
43
サハラ砂漠横断の冒険に挑戦し散った22歳の上温湯隆の手記をもとに構成された物語。想いを行動に移すには相当の覚悟が必要だけど1974年当時を考えると誰でもやめた方が良いと思うわな。バカな事だと笑われてもやり遂げようとした彼の熱い一途な想いには敬服する。砂漠から出された母への手紙は死んでしまったら何とも辛い。自分じゃ出来ないから憧れるんだろうな。2018/07/11
あび
12
7000キロに及ぶサハラ砂漠。横断ルートは存在せず、全ては跡形もなく砂風に飲み込まれていくこの世の果て。その地を横断することを夢見た22歳の青年の記録。一頭のラクダと共に熱砂の海に挑み、儚く散ったその青春。サハラに死す。その今際の際に何を想ったのだろうか。2017/08/07
ランフランコ
7
今から45年位前の話。当時は大変反響を呼び、若者のバイブル的存在にもなったという記事も見るが、私にはそうは思えない。冒険に憧れる若者の心理はわかる。でもこれはちょっと無謀というかあさはかではないのか? 親や知人に金を無心しながら行なうたぐいのものではないと思う。もっと周到にもっと慎重にもっと経験を重ねてから行なうべきものではなかったか? 冒険と言うか旅に近いが、砂漠の民たちの意外な親切さが印象的。愛すべきキャラクターだったようだが早く死にすぎだ。親不孝だよ。2017/11/14
ストロベリーキッド
3
とにかく熱い文章。ゾクゾクする。でも破天荒、がむしゃらは確かに若者の専売特許かもしれないけど、親や知り合いからお金を借りて自分のやりたいことだけをやる彼の旅のスタイル、考え方は好きではない。アルバイトするなりして自分でお金を稼いでから挑戦すればと思う。友達にはなりたいとは思わないけど、サハラ横断中にもかかわらず受験のことを考える人間味あふれる彼に少し好感を抱いた。2010/08/22
チョビ
2
無理無茶無謀無鉄砲無計画 奇妙な魅力は感じる。 おじさんにはには眩しい 体調の悪化を伝える母親に、二言目には お金の無心とか引くくらい神経太い。 これくらいじゃないと前人未到には挑めないんだろう 2021/09/07