内容説明
戦後という波乱に満ちた、無秩序だか半面において自由闊達な気風に溢れていた時代、新聞記者はスターであり、英雄であった。とりわけ、読売社会部の立松和博は数々のスクープで乱世に光彩を放っていた。その立松記者が、売春汚職報道の“誤報”で突然逮捕された。第6回講談社ノンフィクション賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
182
第6回(1984年) 講談社ノンフィクション賞受賞。 大新聞の社会部記者が、スターであった時代が あった。文科系の学生たちの希望職種が新聞記者で あり、ペンで世界を変えるという覇気があった時代が 確かにあった。本書は 読売の花形記者であった立松和博が 突然不当逮捕されたいきさつを描く。 情報過多の現代では 想像するしかない大新聞内の闘い。 著者の本田泰晴は、立松の部下であり、その記述は 重い。2014/05/06
みなみ
9
読売新聞の立松記者の不当逮捕を題材にしたノンフィクション。戦前から戦後につらなる日本の歴史を随所で紐解きながら題材に迫っていく。ボリュームある情報量は読み応えがあり、日本の戦前と戦後は断続せずに繋がっていることがわかる。金子文子と朴烈は映画をみて、この判事さんも出てきたのだが、この人(立松記者の父親)だったのか。破天荒な立松記者は検察の内部抗争のために陥れられ、新聞社も結局は彼を守らなかった。このときよりも日本の検察も新聞社も権力の前にヘコヘコになってしまって見る影もない。2021/05/25
Melody_Nelson
6
詳細は知らずに読んだので結末に驚く。検察内における、政治家を巻き込んでのドロドロな権力闘争が露骨に描かれており、占領時代では、そこにGHQの思惑(およびGHQ内での権力争い)が絡んできて、かなり複雑。この他にも、色んな事件や裁判などの話、読売新聞の組織、立松の人となりまで記述され、登場人物も多く、かなりのボリューム。逮捕後、勤務先の読売は守ってくれないし、既に「自分の時代」ではなくなったことを悟った立松の心中を思うと哀れ。筆者は頻繁に立松の「育ちの良さ」に言及するが、実際どんな感じの人だったのかな。2026/04/01
glaciers courtesy
5
全性事件における読売新聞の立松和博記者の不当逮捕事件を扱ったものだが、すぐに通常の事件モノのノン・フィクションではないことに気が付く。著者の本田靖春と主人公の立松和博は読売新聞社会部における先輩後輩であり、本田は特に立松の薫陶を受けた間柄だからだ。立松和博の破天荒な武勇伝に多くのページを割いたこの本は本田靖春のによるレクイエムと言うのが適当だと思うが、事件に関する記述も分厚い調査によって書かれていて、とても面白い。検察内部や政治家と検察の権力闘争は基本的に実名で、かつ捜査情報のリーク元まで特定されている。2015/09/28
Tom
4
著者の先輩である読売新聞社会部の記者、立松和博の検察による不当逮捕が物語の軸なのだが、新しい登場人物が出るたびに出生からその経歴が紹介されるので、読んでると脇道にそれまくっている印象が強い。が、おかげで昭和史を学べる。特に戦後は全然知らないので、勉強になった。一回ちゃんと昭和史を勉強しないといけないな。著者の人物に対する観察眼が深く鋭くてすごい。当たり前なんだけど(本田靖春だぜ?)。立松の瑕疵もないわけではないのだが、この頃から日本のジャーナリズムは権力の前にどんどん腐敗していったんだな。だから政権交代!2022/12/13




