内容説明
凄惨な殺人が頻発した、“地獄の季節”から約二年。金敷市は、表面上は平穏な生活を取り戻している…。しかし、蠢く狂気はただ眠っていたに過ぎなかった!新たな事件に立ち向かう特殊相談対策室のメンバーに、悪魔の声は、心に秘められた害意の扉を開けと囁く。仄暗い殺意とともに、脈動を始める病んだ町…。再び幕開いた殺戮の舞台を指揮する者とは。
著者等紹介
牧野修[マキノオサム]
1958年大阪府生まれ。『王の眠る丘』で第1回ハイ!ノヴェル大賞を受賞しデビュー。『傀儡后』で第23回日本SF大賞を受賞。SF、ホラー、ミステリなど多岐にわたる分野で多くの作品を発表し続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
4
前半の不穏な空気がいい。人工的に歪められた街が生まれ変わったのは、真っ白な正義に染められた街。秩序より混沌の方がまだ住みやすいのかも。政府の陰謀とか宇宙人の侵略とか。そんなもんより、恐ろしいのは他人を操ろうとするその目的。歪んだ悪意や過ぎた秩序より、虚ろな思考が何よりも…2013/02/05
zazo嶋
4
ファイル1で解決したかに見えた「環境=脳」の実験による大量連続事件。一見平穏に見える日常が静かに壊れていくファイル2。法を遵守する現代に於いて法では裁けない、もしくはその裁きの甘い犯罪者に対する報復にダメな方の「トクソウ」メンバーが再度渦中に巻き込まれていきます。今作も短編連作風なスタイルで展開されるいくつかの事件が集約されていき、予想外に大きく渦巻く策謀に繋がっていきます。誰がこの事件の糸を引いているのか? 思わせぶりな人物が多くなかなか的を絞れないのもミステリとして読み応え充分。ファイル1から張られた2010/11/30
雑感
3
#2020年読了 023:牧野修『再生の箱』 キアラさん無双の下巻。どうも私は組織だテロだ法律だ正義だ悪だと話が大きくなればなるほど興味が薄れていってしまうので、『破滅』の一話目がピークだったな~という思いを抑えきれず。自分の半径100mくらいの話を好むのは、多分視野が狭くて日頃から「考える」「想像する」ということをしないせいなんだろうなあ。逆に、狭い視点からどんどん事態が膨れ上がっていくスケール感が好きな方にはたまらない展開だろうなと。2020/01/24
織田秋葉
3
牧野さんだなぁー。の一言に尽きるかも。 一旦収束したかに見えた金敷町を舞台とした環境=犯罪事件。再び街を覆う不穏な空気。 黒幕は一体誰なのか、その動機は何なのか、が語られるのですが、破滅の箱ほど、ドキドキ感がないかも。何となく早々に犯人、分かっちゃうし(苦笑)。前回から登場人物増えてないから。消去法で。 途中の展開もオチもポカーンとしてしまうなあ。生き残った人がババを引かされた感があってちょっと納得いかないし。人死にも多くて後味もイマイチ。2011/10/17
さばお
3
前作で描かれていた犯罪が多発していた「地獄の季節」から二年後、町は平和になった。平和になったはずだが、過剰な善意が狂気に変わっていく。あの鴻上邸の歪んだ感じって、遊園地とかにあるマジックハウスみたいな感覚なのかなぁと想像w ラストはそんな気がしてたんだけど、やっぱりかと。でもでも、とにかく面白かった。2010/10/12




