内容説明
この仮面を被ると一年間、王となれる。だが翌年には処刑される運命が―いわくつきの仮面を持っていた男性流行作家が友人の女性作家・千晶にそれを譲った直後、失踪した。彼は伝説のとおり葬り去られたのか?呪いを恐れる千晶。だが作家としての欲望が、その顔に仮面を!そして想像を絶する事件が発生!?廃墟の中の不思議な玩具館『三隣亡』の美女・美珠が謎に迫る。
著者等紹介
石神茉莉[イシガミマリ]
幻想小説家。1999年に『幻想文学』誌上でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
73
それを被ると一年間王になれるが、その後処刑される。そんな仮面を送った後失踪した友人…。モックキングの話は大好きなので期待しつつ読む。幻想的な面が前面に押し出されていた前作よりホラー要素が強まったよう。ただ仮面を被った作家と因縁ある土地に建てられた近所の住人の話が絡み合っているので、ちょっと雑然とした感じも受たかな。両者が構成上不二の関係にあるのはわかるけど。あとはやり「三隣亡」がデウスエクスマキナ的な役割になってる。「呪具」としてあったものが、するすると解けていく様は爽快感があったし。この世界観好きだわ。2022/12/04
ふじみどり
17
表紙が好みだったので借りてみた。小道具が雑然とした雰囲気で優雅さに欠けたので幻想的な物語という意味では予想と違ったが、中盤あたりからは先が気になり、ミステリーとして楽しめた。ラストでまた不気味な予兆があるのかと思いきやそこは肩すかしだった。イメージを描きすぎたせいでのりきれなかったがまた読んでみようと思う。2012/12/14
miroku
14
世界と自分との境界を越えるための試練を経て、彼女は生きることが苦痛ではなくなったのかも知れない。怪異は人の心が生み出し、人の心を映し、時に人を癒す。2013/09/27
不在証明
8
メインの千晶の話は正直どこにでもあるようなステロタイプのホラー話。今回三隣亡との絡みが少ない。店長は相変わらずゾンビゾンビ言ってるけど、結局排除され追いやられたところで奴等は仲間増やして少数派から脱してるじゃない、と思うのでいまいちピンと来ない。美珠さんの美学には共感するところが多いので、もっと語ってほしいなぁと思う。刀の美しさを語るところ。殺傷能力を極めたこの形が美しい、道具として研ぎ澄まされた美です、とのこと。わかるわかる。多機能ボールペンより万年筆の方が美しい、みたいな感じかな(違うか)。2015/11/14
胡蝶
3
以前、人魚と提琴を読んで石神さんの書くお話ににすっかり魅了されてしまいました。 玩具屋、三隣亡を舞台に紡がれていく不思議な物語。。 お話に出てくる食べ物や品々、ちょっとした逸話など随所に散りばめられた伏線がまたとても興味深いです。 2012/06/29