内容説明
高塔市―赤毛の人々が数多く住む奇妙な街で、その事件は起こった。美しい赤毛の持ち主ばかりを次々に殺害し、忽然と「消失!」する黒ずくめの男の謎。痕跡ゼロ、関連性ゼロの完全犯罪に名探偵新寺仁が挑む!ミステリマニアの間で伝説と化していた本書が今また甦る。
著者等紹介
中西智明[ナカニシトモアキ]
1967年福井県生まれ。同志社大学文学部在籍中、趣味のカードマジックがとりもつ縁で京都大学推理小説研究会の綾辻行人氏と知り合い、同研究会に入る。『消失!』を大学在学中に上梓、その大胆なトリックで話題を呼んだ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
186
★★★★★ とてつもない作品に出会ってしまった。「騙された~」という余韻に浸る隙も与えない、終盤の〝どんでん返しの応酬〟には、文字通り開いた口が塞がらなかった。名作!2018/11/02
青乃108号
157
これは所謂、【本格ミステリ】マニアの為の本。そうでない俺の様な門外漢にはこれはちょっと…な本だった。赤毛のものを狙った連続殺害事件が発生。殺害現場で起こる死体と犯人の消失トリック、これは凄いぞと読み進め、ついに後半で明らかになる、殺害されたものと連続殺害事件の謎がいちどきに明らかになった瞬間…間違いなく前代未聞の真相に、怒りを覚える人30%、あきれて笑うしかない人30%、これは凄い!と衝撃を受ける人40%。その上密室トリックと犯人のミスリードまで堪能出来ちゃう。この作品だけは絶対に映像化は不可能でしょう。2024/09/20
chiru
91
赤毛に強い憎しみを持つ『犯人』。連続殺害事件のミッシングリンクとは…。どんでん返しの連続に「えー?!」って固まってしまいました。やられた感がマックス。アンフェアって言いきれる自信も根拠もなく、完璧すぎるミスリードに文句のつけようがありません。固定観念と先入観と思いこみをどれだけ取り払えるかが勝負なのかな。ただ、最後のサプライズは強烈すぎて、個人的にはないほうがよかった。憎いほどぴったりなタイトルの意味も含めて100点!! ★52018/11/24
ばりぼー
46
二十数年ぶりの再読。新本格ムーブメントをリアルタイムで体験した者としては、懐かしくて感涙ものです。この当時は、「このデビュー作1作品のみで、作者まで消失してしまった」と揶揄されましたが、この復刊版も既に品切れ状態、ちょっと消えるのが早過ぎます(笑)。確かに、文章が稚拙で瑕疵が目立ち、作者の独りよがりという印象は拭えませんが、読者をとことん驚かせてやろうという意欲は高く評価できると思います。このトリックを使った綾辻さんの作品もありますし、埋もれさせてしまうには惜しい作品です。でも、怒る人もいるでしょうね。2014/02/25
周到&執拗
43
連続殺人物の新パターンに挑んだ(恐らく最後の)作品。一般読者と本格マニアの垣根を消失させる試みでもある。例えば“犯人”の断章が続く中に挿入される“別人”の断章は、おふざけであると同時に、それ以外の断章が同一視点であることの保証となっている(“警官”ではなく“別人”であるところがポイント)。視点人物入れ替わりの大ネタをあっさりばらしたり(病院屋上シーン)、「死体が消えていたことが説明できまい」のひとことでクイーン派なら何十行費やすであろう難物の論証を済ませたり(小学校駐車場シーン)。 ※コメントへ続く→2016/03/25