内容説明
忌まわしいあの事件が起きたのは、今から三ヵ月前。「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された…。大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。新時代の潮流に突如現れた、エンターテインメント界の期待の大型新人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美紀ちゃん
198
ウサギの事件がとても衝撃的。深く考えさせられる。頑張っている「ぼく」の思いがまっすぐで、胸が締め付けられる。印象的な話。2012/08/18
七色一味
165
読破。すみません、最後の最後、秋山先生の言葉で一気に泣いてしまった。純粋な──エゴと表裏一体となった愛情、それだけを頼りに、手探りで7日間考えぬき、そして自らと引換にして勝ち取った「復讐」。全ては、失ったものを取り戻すために。 なんて辛くて悲しくて、でも、心温まる物語だろう。出会えて、幸せな一冊です。2012/02/15
優希
145
人が人を裁くこと、救うことについて考えさせられました。学校のうさぎが惨殺されたことで心が壊れたふみちゃんを救おうとする「ぼく」。不思議な力を持つ「ぼく」は自分と同じ力を持つ秋山先生の所に7日間通います。事件の終止符を打つために。そこで考えさせられる犯人に与える罰の重さ。罪と罰について描いた重さを感じます。正義をふりかざしてやみくもに力を使うことではなく、最後に出した答えこそ正義だと言えると思います。最後にふみちゃんに一筋の光が射し込んだことが救いでした。2016/04/07
紫綺
139
心にずっしり・・・。重たい。重たすぎる。罪と罰、怒りと寛容、女神と悪魔、善と悪、愛と憎・・・茫洋とした頭の中を様々な語句が飛び交う。小学四年生をこんな重たい物語の主人公にするなよ、って叫びそうになる。それでも、ページを繰る手が止まらなかった。すごい作品。2011/05/16
zero1
129
罪と罰を問う作品。 長編だが、超能力を含め魅力いっぱい。 もし、自分が主人公なら同じ行動を選択するだろうか。 読者により、いろんな答えがあるはず。 心を閉ざした少女は主人公の選択を喜ぶかどうか。 私は喜ばないと考える。 他人のために命を投げ出す人がいないというセリフがある。 これは違うと私は思う。 鉄道事故を防ごうとして亡くなった「塩狩峠」(三浦綾子)などがあるからだ。 辻村の別の作品につながる部分があり興味深い。 また宮部、恩田、筒井といった似たテーマの作品を書く作家ならどのように描いたか。 2018/10/16