内容説明
もう、一人の夜には帰りたくない―。残虐非道な事件に潜む、孤独な殺人鬼と彼を操る共犯者の存在。罪の意識に苛まれながらも、二人の間で繰り返される恐ろしい殺人という名の遊びは、一体いつまで続くのか!?そして傷つけずには愛せない、歪で悲しい恋の行方の結末とは…。辛い過去を孕んだ事件の真相は少しずつ解き明かされ、漆黒の闇を照らしていく。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。新時代の潮流に突如現れた、エンターテインメント界の期待の大型新人
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エンブレムT
138
I、EYE、愛、哀、i、そして、藍。この作品の【あい】を照らす光は、決して暖かい陽光ではない。見えてくるモノも、いびつに歪んだ真珠がぼんやりと白く浮かび上がってくるような感じ。ミステリーとしては不完全だと思う。矛盾や説明不足も多く、ミスリードを誘う演出が物語から我に返らせてしまうことすらあった。けれど、それを差し引いても、私はこの物語がとても好きだ。温度のないスポットライトと明るく暖かい陽光は、全然違うもの。でも、そのどちらもが闇を払うことのできる「光」なのだと。どちらにも温もりはあるのだと思えたから。2010/09/15
nyanco
87
辻村さん、作品の構築の仕方が本当に巧い!様々なことが彼女の頭の中の『たからものいれ』にいくつも収められているのだろう。大人になる途中、そんなくだらないもの…と親に捨てられたり、自分から大人になるために捨ててしまったようなものを、彼女はきっと全部取ってある。その中から、全く関係のないように思われるいくつかを選び出し、見事な作品を紡ぎ出す。いくつも提示される伏線をジグソーパズルのように、ひとつひとつピタリと納めていく。頭の中を覗いてみたくなる女性作家第一位。2009/08/29
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
85
何度ゲームを止めたいと思っただろう。けれど容赦なくゲームは進んでいき、ついに・・!何度もやりきれなさを感じながらもページを繰るのが止められませんでした。事件の真相は人によって評価が分かれると思いますが、全体的には良かったです。最終章の「月子と恭司」が良かったです。恭司がメチャクチャいいヤツでした!それにしても秋先生。男子生徒に一体何を言ったんでしょう?気になります。★★★★2010/05/25
れいぽ
79
こんがらがっていた糸が下巻を読み進めていくうちに解けていきました。なんて細かい伏線を仕込んでいたのでしょう。浅葱のしてしまったことは決して許されるべきものではないんだろうけど心情的には突き放すよりは寄り添ってあげたい。エピローグはじーんときました。人間には誰でも、大好きで泣かせたくない存在が必要だ。2011/03/10
ゆみねこ
76
iとθの関係は自分の想像していた通りだったけれど、幼い日の辛すぎる生い立ちには心が痛む。月子が傷つくことが痛々しくて辛かったが、ラストはあれでいいのか?読者にそれぞれ解釈をまかせるということなのだろうか?秋先生がもう少し謎の解明に関わるのかと思ったけれどそうでもなかったり。確かに読み応えのある一書ではあったが。2013/08/29
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- 和書
- アメリカ合衆国ユタ州