内容説明
鎌倉に建つ梵貝荘は法螺貝を意味する歪な館。主な魔王と呼ばれる異端の仏文学者。一家の死が刻印された不穏な舞台で、深夜に招待客の弁護士が刺殺され、現場となった異形の階段には一万円札がばらまかれていた。眩暈と浮遊感に溢れ周到な仕掛けに満ちた世界に、アの名探偵が挑む。隙なく完璧な本格ミステリ。
著者等紹介
殊能将之[シュノウマサユキ]
1964年福井県生まれ。名古屋大学理学部中退
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
73
石動シリーズ第3弾。梵貝荘と呼ばれる屋敷で、14年前に起こった殺人事件の謎を解いたのは名探偵水城であった。その事件の再捜査が探偵石動に依頼される。過去の事件と現在が交互にかたられるのだが、過去の物語は作中作であり、作者が信頼置けるのか疑問だったりと、流石にかなり作り込まれている。過去の殺人事件は、名探偵水城との推理勝負であるのだが、思いつく筈が無いだろう。現在でも殺人事件は起きるのだが、この物語の正しい構成を推理する、というのが本作の謎解きなのだ。館シリーズや名探偵という者にたいする、作者の思いに感じる。2018/04/21
みっぴー
59
やっぱり作中作は疲れます。が、構成は非常に凝っていて作者の多大な労力がつぎ込まれているのがよく分かります。実際に起きた殺人事件を元にして書かれたミステリを洗い直す石動探偵ですが、なぜか早々に殺されてーーー?真相は読んでのお楽しみということで。前作『黒い仏』を読んだ直後なだけに何が起きても驚かないよ的な、なげやりな気持ちで読んだのですが、こちらは読後が温かくてほっこり。前作のあれは何だったんだ…(゜ロ゜)2016/05/14
さっとる◎
51
【メイ探偵祭】殊能さんすごい( ゚Д゚)な1冊。あの超ど級変化球の後にこうくるのか。どういう心構えで作品に接したらいいのか未だわからない(笑)。惑わされポイントが盛り沢山の、非常に凝った、贅沢なつくり。おもしろかった、そして眩暈と切なさと。石動さん…今回もしっかり探偵しているんだけどな…(笑)。眠れる獅子アントニオもとりあえず元気なようで一安心。文庫では1冊にまとまっているみたいなので続けて「樒/榁」へ(*^^*)2016/06/29
りんご
25
読み終わってから、たくさんの思い違いをしていたことに気がついた。相変わらず石動は論理的で想像力豊かな名探偵なんだけど、なんだか残念なことに。作中作よりも、現実で進んでいく話の方が面白かった。作中作は展開が分かっているし、登場人物に共感しにくかった。その分、作中作が終わってからのどんでん返しの連続はスピード感たっぷりに読める。恋愛と本格ミステリが組み合わさって、絶妙な出来の小説だった。水城優臣は名探偵でなくとも、充分格好いい。2020/02/17
本木英朗
22
殊能将之の第4作が、この作品である。鎌倉に建つ梵貝荘は法螺貝を意味する歪な館。主は魔王と呼ばれる異端の仏文学者。一家の死が刻印された不穏な舞台で、深夜に招待客の弁護士が刺殺され、現場となった異形の階段には一万円札がばらまかれていた……という話。今回で5回目である。3回までは東京で読んだのだが、弘前の4回目はぜんぜん分からなかった。今回は一応最後まで読んだかなあ。はたしてその真相やいかに! そのあたりが見ものだろう。いやいや、超よかったよねえ。2019/12/28




