著者等紹介
赤江瀑[アカエバク]
1933年下関生まれ。1970年『ニジンスキーの手』で小説現代新人賞、74年『オイディプスの刃』で角川小説賞、84年『海峡』『八雲が殺した』で泉鏡花文学賞を受賞
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
66
ヒース・レジャー主演の『悪霊喰』を観て「罪喰い」が読みたくなり、再読した所、赤江瀑熱が再燃してしまいました(笑)この短編集は赤江瀑氏ならではの五感を際立たせるような景色の描写が格別だと思う。「花夜叉殺し」の様々な強い匂いが不快感になる一歩手前で絶妙に交じり合う庭や「絃歌恐れ野」の色彩鮮やかなまな板の菜やふつふつと煮える汁物の匂いや湯気がふわっと立ち上った時の温かさ、沢庵を齧る音や歯ごたえが一気に迫る感覚に惑溺。しかし、篠治を罵る一花に対しては「あんたも愉しんでる癖に・・」と思う私は嫌な女になったなと(笑)2016/11/17
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
28
*幻想妖艶ミステリ*一花は血刀をさげて歩いていた……現実に血の滴る刃物をぶらさげて歩いていたわけではない。血のりに濡れた鋭利な凶器は…、一花の精神のなかにあった――『花夜叉殺し』より。表を雅で彩り…裏を人間の暗い情欲で描く、珠玉の短編16譚!?――日本古来から続く民俗…伝統美を感じさせる風景。しかし…その優雅な面立ちの影で、狂い咲く男女の情念…。 ⇒続き2014/03/16
藤月はな(灯れ松明の火)
23
高校受験の時に初めて読んでその淫蕩且つ耽美な世界に酔い痴れ、本断ちして飢えていた大学受験中に読みたくて仕方なかった酒精たっぷりの和菓子のような本です(←ませたガキですな・・・)赤江瀑作品を読むとむせ返るような華の匂いと芸術の底知れない美と雅さ、人々の情念と愛憎と獣性の余韻に翻弄されるしかありません。 2012/02/15
ネムル
15
耽美系を装ったおっさんのポルノと称したら怒られるのか? 赤江瀑の過剰な神格化にはちょっと眉唾なのだが、それでも優れた作品は少なくない。特に他者の罪を食って引き受ける因習を元に戦後日本の闇と因果を転倒させる「罪喰い」が良い。高層ビルが崩壊するラストのヴィジョンは日野啓三『夢の島』のようでもある。あとは庭、能面といった著者らしいモチーフがよく出た「花夜叉殺し」「灯籠爛死行」「阿修羅花伝」、あと小説ツッコミ小説「八雲が殺した」が面白い。2021/03/21
吉野ヶ里
11
エンタメ文学の教科書というか、習い手本のような王道文学。作家という生き物はこんなに多様な人生を描けるのですね。庭師も、舞踊家も、建築家も、ホタルの飼育係も、実体を捉えているように思います。手なりで書かないという決意が伝わってきて、尊敬します。息を飲むほど良かったのは、『花夜叉殺し』『ライオンの中庭』『象の夜』『八雲が殺した』。とても良かったのですが、完成度が高すぎるのがやや難点。感心が先立ってしまい感情的に昂りきれない。装丁が五月蝿いのも難点。もっとこうあったでしょ。総評としてはかなり満足。2020/07/07