内容説明
女子大のゼミ室から学生が消え、代わりに警備員の死体が。当の女子大生は屋上から逆さ吊りに。居合わせた氷川透はじめ目撃者は多数。建物出入り口はヴィデオで、すべてのドアは開閉記録で見張られる万全の管理体制を、犯人と被害者はいかにかいくぐったか?奇抜な女子大生と氷川が究極の推理合戦でしのぎを削る。
著者等紹介
氷川透[ヒカワトオル]
横浜生まれ。A型、射手座。東京大学文学部卒。『真っ暗な夜明け』で第15回メフィスト賞を受賞。精緻な論理と巧みな文章力で島田荘司氏を瞠目させ、その推薦を得てデビュー。著書は他に『密室は眠れないパズル』(第8回鮎川哲也賞受賞作を改稿改題=原書房)がある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
247
かなり好き系統の作品だが、論理を成立させるために蓋然性が無視され過ぎており、バランスの悪さが目立つ。大学内で事件が起こる意味も、被害者が死ぬ理由も、普通に考えれば、ない。オマケに某ネタバレサイトにもあるように潰されていない可能性が残ってしまっている。フーダニットありきの物語が陥る罠に色々と嵌まってしまった作品。読んでいる最中は本当に面白いのだが、読み終わって冷静になるとアレアレ?と疑問が出てきて止まらなかった。美帆の導きだした解決の"美しさ"という概念もイマイチぴんとこない。氷川の生活費の出所が一番の謎。2016/12/13
セウテス
89
探偵氷川透シリーズ第3弾。本作は後期クイーン問題と、ミステリの中に於けるゲーデル問題を、物語の展開に簡潔に取り入れ巧みに説明している。私自身はハッキリ言うと、こうした問題はどうでも良いのだが、論理的に謎を推理していくスタイルは大好きである。お嬢様大学で講師をしている先輩に呼び出された氷川は、大学内で殺人事件に遭遇する。女子学生の一人祐天寺美帆が、探偵役として氷川と推理戦を繰り広げるのだが、こうして作者ならではの問題に対する回答を、示している様に思う。必ずしも成功とは思えないが、作者の挑戦には拍手を送る。 2018/05/18
ちくわ
26
目まぐるしく変わる視点に、苦笑してしまうような心理描写と登場人物が癖になるんですよね。好きです。読みやすさもあって事件は複雑ながらも分かりやすく読者への挑戦に応じたくなる。そして、作中で扱われるゲーデル問題と二人の探偵の対比も面白い。タイトルといい、二人の推理といい少々卑屈なところも良いですね。探せば粗はいっぱいあるんだろうけど。面白かったです2017/06/08
yucchi
25
【図書館本】相変わらず冗談が面白くない氷川が、お嬢様学校で起きた事件に挑む。なんだかまたイラっとするオンナが出てきたぞ(笑) 派手さはないけれどロジックがしっかりしている。探偵目線で語っているので、少し動機がぼやけてしまっているのが残念。2014/09/10
kate
22
お嬢様女子大で同時に起きた2つの殺人事件を描いた作品。どこまでも理屈っぽい氷川の言動や氷川も認めるお嬢様名探偵の登場、そして何より論理的で隙の無い謎解きに惚れ惚れする作品。後期クイーン的問題に触れるやり取りがなんとも興味深く楽しめました。2014/06/12