内容説明
時は、昭和三年十月。三田魚籃坂にて探偵社を営む系譜学者、忌部言人は依頼された調査のため、友人物集高音とともに和歌山県は紀伊大島に渡る。当地の漁村で戸長の屋敷を訪れた忌部らを迎えたのは、一家皆殺しの惨殺死体だった。そこに残された、アルファベットらしき文字が記された意味不明の木片は、明治日本を揺るがした大事件の謎に忌部らを導くのか!?驚愕の博識と、流麗なる文体が、読者を濃密なミステリー世界へと誘う。恐るべき処女長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pomota
2
忌部の変わり者ぶりと、短気で真面目な物集のコンビが過去の事件を探っていく話なのだが割りと楽しめた。最後の『血食』の意味についての会話にはしみじみと、悲しみを覚えた。2012/11/29
小林ミノリ
0
昭和三年を舞台に、系図屋を生業とする探偵と著者と同名のワトソン役の作家がひも解く、系図の迷図。 独特の文体とあまり使わないような漢字の羅列が心地よい。
氷沼
0
再読した際にコメントします。
まゆき
0
家紋と姓名で出自を探る仕事の「系譜屋」という設定が存分に活かされていて、とにかく興味深い。実際に起こった事件や当時の情勢も絡み、しっかり組み立てられた感じがあって、安心して作品世界に入れました。キャラクターの魅力には乏しいかもしれないけど(美形じゃないし)それも問題にならないくらい「血食」世界はガッチリ確立しています。漢字の多さや言い回しの読み難さを堪えて読み進めた最後は何とも言えない余韻のある一文で幕が降ろされます。タイトルを見返して、再度しみじみ。ぜひ続きが読みたい。2010/02/25
てっちゃん
0
1999年5月27日に読了