内容説明
俗世を捨て数珠を携えておくのほそ道を旅する晩年の姿。対照的に青壮年時代には算勘の心得を武器に処世に長け、伊達を好んだらしい芭蕉。伊賀上野の生まれ、二九歳で江戸に出、四一歳以降は旅に過ごす。このわずかな伝記的事実の間に残された空白の時代、芭蕉は何を生業とし、どんな交友関係を結んでいたのか。前半生の謎に切り込む画期的な論考。
目次
プロローグ 芭蕉空白の四〇年をうめる
第1章 伊賀での少年時代
第2章 武家奉公へ
第3章 日本橋在住時代
第4章 江戸俳壇に躍り出る―「笑い」の俳諧師
第5章 若き日の妾・寿貞
第6章 桃印の謎
第7章 転生
エピローグ 人間芭蕉の四〇年
著者等紹介
田中善信[タナカヨシノブ]
1940年、石川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、白百合女子大学教授。専攻は俳諧史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さくら咲く
7
興味深く読み進める事ができた。多くの文献、諸説がある故の難解さもあったが著者の仮説からの推測に一票というところか。一部の時期、謎などを除いても一般的に知られている芭蕉とはかなり違っていた。芭蕉の人生の研究書籍をもう少し読んでみたいと思わせてくれた。2021/05/04
うさえ
1
初めて生きた芭蕉に会えた気がする2008/10/25
k-hon
0
いいね!2012/04/15
リヅ
0
衝撃の芭蕉の前半生! …突飛にも思えるような推論だけど、しっかり調べて妥当な判断をしているようで、信頼できる。面白い。「俳聖とは作り上げられた概念だ」という基本方針には心底同意。*42009/07/05