出版社内容情報
日本は満州をどのように奪取し、支配したか。防共の砦、日本軍の経済的基盤とされ、盛時は百万人余の日本人が暮らした「満州国」。日本による支配の実態と矛盾を、支配体制、産業開発、農業政策を軸に描く。
内容説明
王道政治、五族協和、財閥排除等のスローガンのもと、ソ連社会主義や中国民族主義への砦、鉱物資源や農産物の供給基地という役割を担い、「日本の生命線」として生まれた満州国。しかしそれは出発点から、日本のかいらいとしての宿命を負っていた。以来、建国の理想をことごとく裏切った、十四年に及ぶ日本による満州国支配の実態を明らかにする。
目次
序章 現代史のなかの“満州”
1 満州国の誕生―かいらい国家の政治史(満州事変の意味するもの;出先軍の作る国;成長するかいらい帝国)
2 戦争準備と産業開発―五か年計画とその矛盾(産業開発五か年計画;五か年計画の資金と物資;関東軍の戦争準備;総動員と民衆への圧迫)
3 配達されない手紙―満州国の農業政策(東北の農業と農民;満州国の農業政策;日本人農業移民)
終章 満州国の遺産はなにか
著者等紹介
岡部牧夫[オカベマキオ]
1941年、東京都生まれ。成蹊大学政治経済学部卒業。著述業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
4
満州国を論じた本。統治組織や産業構造といった各論の分析が主。 満州国が存在した当時の日本の実力や満州国への期待値と満州の実態間で大きなギャップがある中、期待値を正にしてしまったことに満州国失敗の本質があると思う。せめて、他のエリアに浮気したり他国の対応に反応したりせずに腰を据えて満州を経営していれば違った結果を得られたかもしれないと思った。当時の日本を取り巻く環境がそれを許すとは思えないが…2018/06/14
mu1059
0
読んだ。書かれたのがちょっと古い(1978年)ので、参考文献に怪しいのが多数。本多勝一のレポートを多数引用しているのが残念。 あと、地名や人名をカタカナで書かれるのはちょっと困る。 あとは公的な統計を引用した考察がほとんどで、満州事変移行、大東亜戦争集結での満州国崩壊までの経緯に詳しい。軍事面だけでなく、経済面からの考察がなされているのがいい。2017/10/20