内容説明
顔に対する美意識は、その時代の社会や文化によって規定されてきた。顔の歴史は社会・文化の歴史でもある。どのような顔が美とされ、なぜそれが選ばれたのか。感情を面に表さない「顔隠しの文化」、横顔よりも正面顔や背面の美を意識する「正面顔文化」はどのように生まれたのか。文献を丹念に考証し、実験も交えながら、顔を通して日本文化の新しい見方を提示する画期的論考。
目次
第1章 古代から中世の顔
第2章 日本的顔の美の成立
第3章 近代の顔へ
第4章 戦後の顔と化粧
第5章 現代の美意識
第6章 日本人の顔文化論
著者等紹介
村澤博人[ムラサワヒロト]
1948年生まれ。埼玉大学理工学部化学科卒。ポーラ文化研究所、『化粧文化』編集長を経て、大阪樟蔭女子大学教授。日本顔学会副会長、医美心研究会会長、国際服飾学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pino
88
日本人の古代からの化粧の変遷を文学、絵画、識者の見解から掘り起こし、根底にある美意識を著者の私見を交えて解析している。近世前は、美しさとは「様式」として捉えられていたとの事。浮世絵にしても人物は、顔、体は、どれも同じような形式で描かれ、平面的に表現される。実際の人々も、着物で体の線を消し、結婚後の女性は眉を剃り、お歯黒を塗る。外国人も驚きの表情に乏しい日本人ともとれるが、歌舞伎などの古典的舞踊において、この没個性こそが内面美を表現する重要な「様式」となる。目玉の動きさえ止め正面から魅せる日本人の個性である2012/09/27
seri
66
参考文献としてパラパラしてたんですが、面白くてじっくり読んじゃいました。特に古代史の前半。化粧の歴史、美意識の移り変わりって根が深い。その民族性を語るときに一番理解の鍵となるのって美意識なのかも。様式美を重んじ、独特の顔隠し文化を確立してきた日本。没個性、個性よりも協調をよしとして、コミュニケーションは主にリアクション(表情)よりも言葉の比重が重い日本文化の基って実は顔を隠してきた時代なんじゃないか、そう考えると面白い。個性を否定しているように見えてその内実は様式美の奥の個性に目を凝らしているのかも。2014/09/12
ゆきこ
19
日本の化粧文化の変遷や美意識について論じた一冊。欧米や中韓の美意識と日本を比較をしながら、日本独自の文化を考察しているところがおもしろかったです。実際に昔の白粉や口紅を再現実験してみるところは、化粧品研究者であった著者ならではの試みで興味深く読みました。2018/05/30
魚京童!
14
いろいろまとめてあったっぽいけど、何を考えているのかよくわからなかった。2014/02/09
Y
4
無理があるんじゃないかと思う論理展開もあったけど、概ね興味深くて面白かった。日本は古来より顔や身体の存在感を感じさせない美意識があったというが、芸術に関連付けて考えてみると理解がしやすい。例えば様式的な平安時代の引目鉤鼻の貴族や、浮世絵に描かれる人などはまさに顔かたち、姿を感じさせないようにぼやかしたような書き方をしている。顔かくしの文化があったがためにこれほど様式的になったのかと思う。今後日本人は一般的に女性に対して少女のような愛らしさをなぜ好むのかを知りたいなと思った。2017/08/09
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