内容説明
攘夷の嵐が吹き荒れる幕末。先に欧米に約した開市開港の実施延期を要請するため、幕府はヨーロッパに使節団を派遣した。文久二年、総勢三十八名のサムライたちは、西洋事情調査の命をも受けて、仏・英・蘭・露など六ヵ国を歴訪。一年にも及ぶ苦難と感動に満ちたこの旅を、彼らの日記や覚書、現地の新聞・雑誌の記事等をもとに、立体的に復元する。
目次
第1章 渡航
第2章 フランス入り
第3章 イギリスへ
第4章 オランダ滞在記
第5章 プロシア(ベルリン)
第6章 ロシア(ペテルブルグ)
第7章 最終訪問国ポルトガル
第8章 帰航
第9章 使節の歴史的評価
著者等紹介
宮永孝[ミヤナガタカシ]
1943年富山県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科満期退学。法政大学教授。文学博士。研究テーマは東西交渉史、日本洋学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sibasiba
13
天正遣欧使節から時代が進んで航海の苦労が格段に軽減されたのは確かだ。蒸気の力はすごい。しかし時代の変わり目に派遣されたので昔とは違い一年で帰ってくるのに西洋探索の成果の汲取もできず幕府は崩壊していく。使節団の洋行中の怒涛の歴史イベントの連続で幕府の権威失墜と攘夷熱の盛り上がりから見聞談を披露する事すら憚れる事になる。特に印象に残るのがフランスの日本学者ロニーとの交友で、ヨーロッパのあちこちに使節団に会うためやって来てくれるのだ。事ある毎に漢詩を詠んだ人がいたりするのも面白い。福沢諭吉の好奇心と活力に脱帽。2014/01/04
孤独な読書人
12
幕末の文久期に欧州に派遣された徳川幕府の使節団の動向を、使節団に参加した人物(福沢諭吉など)の日記等から紐解いていく。船内での生活や他国の文化や科学技術に触れた時の反応などがよくわかる。 印象的だったのは、議会を見学した時に、使節団はその議会制度を誰も理解出来なかったというところだった。 あの福沢諭吉でさえそれを理解出来なかったということに大きな衝撃があった。 2020/08/28
読書忍
1
幕末の文久二年にヨーロッパへ放たれた幕府の使節団の中に柴田剛中という幕吏がいて、その方が忍者の頭領であったという説があり読んでみた。その点ではあまりわかることはなかったが、福沢諭吉などみんな外国の食事や船の乗り心地などについて、不平不満ばっか言ってるのが面白かったっすw2012/12/01
plutonseven
1
史料から紐解く幕末の遣欧使節団の記録。2012/10/23
白いハエ
0
岩倉使節団が有名だが、こちらは文久の使節団の話で福沢諭吉などが同行したものになる。攘夷の風の吹き荒れる日本から出立してきた侍たちの目にした、仏英蘭独露葡の事情が事細かに記されている。学術寄りの文章なので羅列に近い節もあるが、古の旅行記を見るような気分で読み通した。杉徳輔の漢詩が印象的であり、十九世紀半ばの叙情が漢文を通して見えてくるようで良かった。2023/11/10
-
- 和書
- 篠崎愛写真集 IDEA