内容説明
北樺太から黒竜江を遡りアジア大陸へ。北方の民はかつて大陸と壮大な交易を展開していた。エゾとは、エミシとは何者なのか―。日の本・唐子・渡党。記録の間に垣間見える彼らの姿を浮かび上がらせ、そしてついには東北・北海道へと北上拡大する「日本」に組み込まれてゆく過程を活写する。北の地に繰り広げられた、もうひとつの「日本史」の探究。
目次
序章 エゾ地の交易
第1章 エゾから見たエミシ論
第2章 エゾの登場
第3章 エゾと擦文文化
第4章 波涛を越えて
第5章 未完の王権
第6章 「エゾ」政権から「和人」政権へ
第7章 底抜け鎖国体制―北からの道・北への道
第8章 エゾ地の閂
第9章 エゾ地の人別帳
終章 北方史研究私論―おわりにかえて
著者等紹介
海保嶺夫[カイホミネオ]
1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。文学博士。専攻は、日本近世史。元北海道開拓記念館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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(k・o・n)b
5
筆者は、古代に使われた「エミシ」と中世以降に使われた「エゾ」は別物とした上で、本来「エゾ」は特定の民族ではなく、方民を意味していたとする。中世期には渡党・日の本・唐子に分かれていたエゾだったが、渡党=蠣崎氏が豊臣政権に加わり和人的要素を強めるにつれ、残った後二者=アイヌ民族を指してエゾと呼ぶようになったと整理する。理屈としてはすごくスッキリしている説だとは思うが、やはり自分のようなパンピーからすると、じゃあ結局エミシや渡党ってどんな人達だったの?近畿を中心とする「和人」とはどのくらい違ったの?という点が→2024/07/26
yanoms
3
エミシ、エゾ、アイヌ、それぞれの定義とそのブレに触れながら、民俗学・民族学・文献学・考古学など様々なアプローチでエゾの歴史を紐解いていく。北方史が決して一枚岩ではないことが分かる。単一民族神話を考察する上でも役に立つ一冊。こりゃえエゾ。2011/11/28
Teo
3
面白い。2007/08/23
2
複雑な「エゾ」の歴史について、頭の中を上手く整理するのに役立った。2009/10/20
りり課長
1
アイヌの歴史の勉強のために。文庫にしては著者の語り口には違和感があった。2010/09/22
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