内容説明
眼は太陽であり、思考力は月であり、耳は方位であり、頭は火であり、気息は風である―。小宇宙と大宇宙の対応の思想は、やがて個体の本質アートマンと最高実在ブラフマンの一致の自覚へと深化される。古代インドに展開された生の根源を洞察する叡知、神秘思想の本質を初期ウパニシャッドをもとに解明した、斯界の碩学による最良のインド思想入門。
目次
第1章 古代インドの叡知―ウパニシャッドが現代に伝えられるまで
第2章 祭式から哲学へ―ブラーフマナとウパニシャッド
第3章 ブラフマンとアートマン―最高実在と個体の本質
第4章 「有」の哲学―ウッダーラカの学説
第5章 「非ず、非ず」のアートマン―ヤージニャヴァルキヤの思想(1)
第6章 輪廻と解脱―ヤージニャヴァルキヤの思想(2)
第7章 アートマンと外界―『カウシータキ・ウパニシャッド』の教説
著者等紹介
服部正明[ハットリマサアキ]
1924年、東京生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。73年から88年まで、京都大学文学部教授をつとめた。専攻は、インド哲学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shimashimaon
8
先に読んだ赤松明彦氏『インド哲学10講』はまさに「哲学」の本でしたが、本書はその名の通り「神秘思想」の本です。すなわち、アートマンとブラフマンの合一を説明するために、そこに至る神秘体験、祭式や呪術、古代の素朴な観念(生命原理としての水・気息・火etc.)が描かれています。飲茶氏『史上最強の哲学入門・東洋の哲人たち』でヤージニャヴァルキヤを知って以来ずっと気になっていたのですが、『インド哲学10講』での言及が少なかったので、本書で詳しく読むことができて良かったです(「非ず、非ず」のアートマンetc.)。2023/02/11
エジー@中小企業診断士
6
ヴェーダ文献群の一部をなす古ウパニシャッドを神秘思想として捉えながら思想史的にまとめた本。ヴェーダの基幹部は祭式で唱えるマントラを集成したサンヒター(本集)、付属文献がブラーフマナ(梵書)、アーラニヤカ(森林書)、ウパニシャッドである。その根底は絶対者と自己との合一体験。最高実在ブラフマンと個体としての自己の本質であるアートマンとの一体性。「われはブラフマンなり」「汝はそれなり」。対応思想、ウパーサナ念想による同置つまり祭式の要素を自然界の諸要素や人間の諸機能と同置する。祭式や呪法における知識を重視した。2024/01/07
昼寝睾丸斎
1
ヴェーダやウパニシャッドの思想が順をおって分かりやすく解説されているので非常におすすめです。2020/02/16
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