出版社内容情報
秦の宰相、呂不韋が作らせた人事教訓の書。天道と自然に従い人間行動を指示した内容は中国の英知を今日に伝える。戦国末期、若き始皇帝の宰相として秦の百官を統率し、全国から3千の賓客を招集した呂不韋(りょふい)。彼が諸国に対抗し、秦の国力と文化の向上をめざし秀れた上客と編集した『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』は、「天下万物古今の事」を備えたいわば百科全書だった。長寿の秘訣、人物の見分け方から殷の湯王、周の武王の故事によった王者への道など、古代中国の英知の結晶を読み解く。(講談社学術文庫)
1 春の節
2 夏の節
3 秋の節
4 冬の節
町田 三郎[マチダ サブロウ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ますたけ
2
様々な思想を網羅的に取り込んで、雑家に分類される呂氏春秋。一読して理由を実感できたのが収穫。本書の口語訳では腑に落ちない箇所が時折あるが、書き下し文を参考にして、白文での再解釈を試みれば、まだまだ解釈・探求の余地は存在することも実感。全3巻の新編漢文選以外で、手軽に読める点が何より素晴らしい。2022/01/25
BIN
2
戦国時代までの思想をまとめたような書物、呂氏春秋のおそらく抜粋。春夏秋冬の4節に分かれており、春は思想、夏は教育、秋は軍事、冬は忠義について書かれていたような気がします。墓をでかくすると盗掘されるから飾らない方が良いとあるが、始皇帝は全く参考にしていないところが面白いところです。読んでないのかな?2015/06/30
中島直人
2
春秋戦国時代における知識活動の集大成ということだが、全体的には老荘思想に重きを置いた感あり。但し、一つの説に固執し他の学説を排斥しようとするのではなく、全ての叡智を咀嚼した上で始めて正しい生き方が出来るとする。また、全体を貫く基調として自然の季節の流れを置くところに、西洋文明との違い、東洋文明の特質を感じる。2012/05/16
kinaba
0
一人や一家の系統だった説を一つ正しいとして推すのではなく、とにかく古今東西の権威をもろとも併せ呑むというの、時代が下ればともかく、こうも昔にあるの面白いなあ2024/01/06
しお
0
孔子や孟子といった思想家の示す抽象的な概念に対して、本書は具体的な行動に焦点を当てて述べてある。現代風に言えば、ベストプラクティス集。一推しは、人材登用の部。人物の見極めにあたっては、その人物を喜ばせて守るところを見て、怒らせて節操を見て、恐れさせて勇気を見て、悲しませて愛情をみる。弁が立つひとは行動を見て、裕福であれば甲斐性をみて、立場ある人ならば礼節をみる。また、近所、家族、友人の評判を聞く。 当たり前のことかもしれないが、実践はいつも難しい。2021/11/30