内容説明
五〇〇万年前、二本足で直立歩行する猿人が出現し、現代のヒトへと至る遙遠な進化の旅を始めた。著者は、形質・環境・遺伝学等にわたる広汎な知識と卓越した推理力で、二〇世紀に達成された数々の発見や研究を検証、進化と滅亡を繰り返したヒトのドラマを鮮やかに描出する。進化の謎解きの面白さで魅了しつつ、人類が向かうべき方向をも示唆した労作。
目次
第1章 サルからヒトへの関門(‐五〇〇万年前ごろ)
第2章 生き残りをかけた猿人たちの選択(五〇〇万‐一〇〇万年前ごろ)
第3章 文化に目覚めたヒトの予備軍(二五〇万‐二三万年前ごろ)
第4章 直立したヒト、アフリカを出る(一七〇万‐二〇万年前ごろ)
第5章 少しずつ見えてきた現代人への道すじ(六〇万‐二三万年前ごろ)
第6章 氷期に適応したネアンデルタール人(二〇万‐三万年前ごろ)
第7章 多様化していく現代型のヒト(二〇万‐二万年前ごろ)
第8章 集団移動と混血をくり返しながら(三万‐一万年前ごろ)
第9章 ついに太平洋を越えて(四万年前ごろ‐)
第10章 進化に学ぶヒトの未来
著者等紹介
埴原和郎[ハニハラカズロウ]
1927年、福岡県生まれ。東京大学理学部卒業、同大学院(旧制)修了。理学博士。札幌医科大学法医学教室、東京大学理学部人類学教室教授などを経て、東京大学、国際日本文化研究センター各名誉教授。1991年、京都新聞文化賞受賞。2004年10月没
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感想・レビュー
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Masa
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類人猿から猿人・原人そしてホモ・サピエンスへの生物的進化、さらにヒトの世界中への拡散までを概説する。2017/02/12
マウンテンゴリラ
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解説書的な文章で無味乾燥といった印象は多少あるが、人類進化の基本的な知識を身につける上では丁寧で解りやすく、刺激を求めるのではなく知識を求める読者にとっては良書であると思う。そういう意味では、私自身、人類進化についての劇的記述を期待した向きもあり、この手の書物の読者としては失格であるかも知れない。2010/09/13
結城あすか
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人類の進化と言っても文明社会の進化じゃなくて、生物学的な進化、つまり自然人類学の世界の本にょ。とりあえず20世紀の終わりにそれまでの人類学の成果をまとめて見たというところにょ。この本では新人の誕生に留まらず、現生の各人種の起源まで述べられてるのは興味深いにょ。ま、オーストラリアとか新大陸への人類の伝播についてはまだ定説がないみたいだけど……2005/10/13
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