内容説明
カント、デカルトから西田幾多郎にも影響を与えたアウグスティヌス。ローマ帝国末期の北アフリカに生まれ、栄達をめざしたイタリア渡航後にキリスト教に回心。異端と論争し故郷の教会で活動する一方、膨大な著作を残した。その波乱の生涯を辿り、魂の彷徨と信仰への讃美を記す『告白録』や、歴史と国家、神と人類を論じた『神の国』など全著作を解説する。
目次
1 アウグスティヌスの思想―その背景と特色(古代哲学とアウグスティヌス;古代学芸とアウグスティヌス ほか)
2 アウグスティヌスの生涯(歴史的背景;幼少年時代 ほか)
3 アウグスティヌスの著作
4 アウグスティヌスの影響(ヨーロッパ思想史におけるアウグスティヌス;日本人とアウグスティヌス)
著者等紹介
宮谷宣史[ミヤタニヨシチカ]
1936年、大分市生まれ。青山学院大学院文学研究科修了、ハイデルベルク大学神学博士課程修了、Dr.theol.神学博士。専門はヨーロッパ思想史、文化史、西洋古典語。関西学院大学キリスト教と文化研究センター長
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感想・レビュー
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ホームズ
17
なぜか昔から興味のある人物アウグスティヌス。読んだことがあるのは『告白』だけで『神の国』で有名というくらいしか知らなかったけどかなりの量の著作があるんですね。キリスト教の歴史に興味があれば楽しんで読める作品ですね。2012/11/21
有沢翔治@文芸同人誌配布中
13
西洋哲学において参照されているヒッポのアウグスティヌス。彼が生きた時代背景、生涯などを解説。愛に重きをおいて解説しているように見えるが、僕は〈私〉という存在の不思議さや時間概念に興味をもった。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51445227.html2014/12/18
Ex libris 毒餃子
11
ギリシア哲学にならんで引用が多いアウグスティヌスについて勉強したく読む。教科書的な本だったので、まずは概要が知れてよかったです。2021/09/24
sk
3
分かりやすくていい。時代背景もよくわかる。2014/04/19
はるたろうQQ
2
アウグスティヌスの時代、教会が社会機構に組み入れられ、司教は護民官の地位も占め、その選出には民衆が直接関わっていたという。ペラギウス派との論争で人間の原罪を重視するのは、いくら正しい意志を持っても全うできずに情欲に負けるのが人間なのだという自らの経験を下敷きにしていると思う。このシリーズの特色である著書の抜粋部分がないが、「告白録」「キリスト教の教え」「三位一体論」は伝記本文で詳細に解説されている。なお、内縁の妻に対して本人は元より信仰深い母モニカの対応も如何なものかと思うが、本書はアッサリ記述している。2025/10/31




