内容説明
古代、木簡はさまざまな用途に用いられた。役人たちの出勤・給食伝票、勤務評定書、公文書、宮内への通行証、他国へのパスポート、租税の荷札、借金の証文…。そこに墨書された文言からは、名も知らぬ人々の生々しい暮らしぶりや、古代社会の諸相が浮かび上がってくる。平城京跡から出土した木簡の数々を読み解くことで明らかになる天平人の日常。
目次
第1章 古代史解明の鍵―木簡(木片に書かれた古代の情報;木簡の定義はむずかしい;木簡を作る―平城宮のある一日 ほか)
第2章 平城京の日常生活(平城宮を甦らせた木簡;平城宮のまもり;役人の日常生活 ほか)
第3章 各地の木簡から(藤原宮木簡;長岡京木簡;伊場木簡 ほか)
著者等紹介
鬼頭清明[キトウキヨアキ]
1939年、東京都生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。奈良国立文化財研究所歴史研究室長、東洋大学文学部教授を歴任。2001年没
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感想・レビュー
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きさらぎ
6
元本は昭和59年出版(私が読んだのはコチラ)、新聞記事をまとめたものなので、多分情報は古いし割と雑然としているのだけれど、木簡を削ってみたり、反故木簡(笑)の裏に文字の練習をしてみたり、木簡荷札をチェックをして紙文書に転載してみたりする「天平人」たちの姿を垣間見る事が出来る。隠岐や太宰府などの地域性に触れていたり、藤原京の字の古風さから当時の対外関係を推察してみたり、藤原仲麻呂の乱の考察など中々に興味深い。『日本書紀』などの「書かれた歴史」がそれとして、木簡は当時のリアルが伝わってくるところが面白い。2016/10/05
shinoper
0
これまでの日本史が、書物を中心に行われてきたこと。近年しだいに考古学的な歴史の検証にはいってきた事をおしえてくれる。本当の日本の姿がこれから見えてくる事になるのではないだろうか。これまで我々が考えてきた日本という国と真の日本が一致しているのか大変興味をそそられる。2009/09/16
いちはじめ
0
平城京跡から出土した木簡から読み解く古代。考古学と歴史学の交差するような研究が興味深い。2004/08/16