内容説明
すぐれた画家の描いた自画像は何を語るのか。十五世紀中頃、画家は職人から思想家へと変貌した。強烈な個性、卓出した技倆、自分を見つめる精神。自己を突き刺す神に対し、自己とは何かを問う画家。不安、憂い、謙虚、威厳ある顔、顔、顔。アルベルティ、デューラー、レンブラント等の絵を通し、自画像に秘められた西洋の精神と内面のドラマを描く。
目次
1 自画像の起源と理論(自画像前史―ギリシャ・ローマ・東洋;自画像の発生 ほか)
2 十五、六世紀の自画像(イタリアの三大巨匠;デューラーと北方の画家たち ほか)
3 十七世紀の自画像(「バロック」の画家たち;レンブラント)
4 近代の自画像(十八世紀とロマンチシズムの画家たち;十九世紀後半から現代まで ほか)
著者等紹介
田中英道[タナカヒデミチ]
1942年、東京生まれ。東京大学文学部仏文学科・美術史学科卒業。現在、東北大学大学院教授。専攻は美学美術史学
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感想・レビュー
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きつね
3
画家の自画像と作家の自伝的小説はどう違うんだろう?という関心から手に取った。宗教画のはじっこにこっちを見てるやつがいますね。それが画家の自画像のはしりらしい。そのうち役柄が傍観者から重要人物へ、そして主役へ。この流れに絵画技法だけでなく文学・哲学・宗教が影響している、というのが基本構造。たいへん面白く読んだが、それは絵の力であって、筆者の筆致は飛び石的な断言が目立つ。初出掲載誌を鑑みるに緻密な論証を求めるべくもなかろうが、「個人主義」という語の振り回し方が疑問。文庫版あとがきでの弁解も逆効果な気がする。2012/06/06
goldius
1
少しは勉強になり、名セリフもあるにはあるが、田中は、中世的思考と近代的思考の違いを理解していない馬鹿である。2004/04/29
lovejoy
0
★★★★2021/07/31