内容説明
中国の厖大な富が、大奢侈となって降りそそぐ。甍を競う巨大建築、万余の船を浮かべる大運河。果てしない宴と後宮三千の美女、美食と奇食、大量殺人・麻薬の海。そして贅のフロンティアを心に求めた精神の蕩尽まで。紂王・始皇帝・煬帝などの皇帝から貴族・大商人へと受け継がれ、四千年を華麗に彩った贅沢三昧のなかに、もうひとつの中国史を読む。
目次
第1章 皇帝の贅沢(酒池肉林;狂気の不滅願望;巨大建築マニア)
第2章 貴族の贅沢(美意識の洗練;女たちの幻想空間)
第3章 商人の贅沢(欲望の自己増殖;文化を「買う」)
第4章 贅沢のブラック・ホール(宦官の呪われた贅沢;血の快楽;王朝贅沢史の総決算)
第5章 精神の蕩尽(酒浸りか薬漬けか;流罪も楽し;漂流する市隠)
著者等紹介
井波律子[イナミリツコ]
1944年、富山県生まれ。1966年、京都大学文学部卒業。中国文学専攻。現在、国際日本文化研究センター教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
105
中国4000年、贅沢三昧を尽くしたもうひとつの中国史。◆大陸の皇帝、貴族、商人の贅沢三昧はスケールが違う。その姿に呆れるか、うらやましく思うかは読者次第だが、悲しいかなこうした贅沢三昧の日々は長くは続かないのが世の常。◆中国最古の王朝・殷の紂王は、財宝や穀物を集め、庭園や建物を拡張し、各地から集めた野獣や鳥を放し飼いにした。酒を満たした池を造り、樹々に肉をぶら下げ、裸の男女が遊ぶ姿を観て楽しんだという。これが世にいう「酒池肉林」。以降、こうした皇帝が破滅し王朝滅亡になるケースは西太后の時まで繰り返される。2020/07/03
金吾
24
贅沢という観点からみた中国史です。皇帝、貴族、商人、宦官等異なる階層ごとの贅沢が簡潔にまとめられています。西門慶の話が面白かったです。2022/06/12
ソルト佐藤
8
登録忘れ。このくらいだったはず。さすがは大陸の贅沢スケールが違う。皇帝の贅沢はスケールがでかすぎて、そんなに必要?になる(笑 ただ、その贅沢が返って国家事業になり後世への礎に意図せずなってしまうところが面白い。貴族の悪趣味な贅沢。本当に無駄な事ばかりで、ちょっと霹靂。証人の贅沢になるとやっと、これくらいはいいかなと(笑 でも、それは島国の人間は、やっぱり、そんなにいらんやろー(笑 でも、一番やりたい部分かな。と、散々物理的にどうしようもない贅沢を見せられてきたところ。最後にある意味本当の贅沢を書いてくる。2024/08/15
壱萬参仟縁
6
高校世界史必修だが、内容は非常に中国史の中では面白く、生徒が食いついてくるような内容も書いてある。で、学習指導要領の内容からかなり外れるとかなんとかいって、教師は取り上げないだろうが、意欲的な生徒は借りて読むとよい。何が面白いかって、日本の「ノーパンしゃぶしゃぶ」とかいうのがあったな。あんな感じのバブリーなムードが伝わってくるし、「五石散」は知らなかった。これは、鉱物の石鍾乳・石硫黄・白石英・紫石英・赤石脂の調合麻薬で砒素入り(206ページ)。使うのはイケメンで、ブサメンは酒に流れた(211ページ)。2012/10/06
nizi
4
なんか学術文庫というより新書みたいな書き口だと思っていたら、元々新書だった。よほどの豪遊、巨大建築物が載っているのかと思ったらそうでもなくて拍子抜け。なにより建築物でも料理でも、想像図や再現図が載っていないため半端に終わっていた。あと張献忠の逸話とか必要か?2025/04/01