内容説明
一九三一年九月十八日、中国東北部で勃発した紛争に世界は震撼した。国際連盟は実情把握のため、リットン卿を団長とする調査団を派遣する。日本、中国、満州、朝鮮―。一行はゆく先々で昭和天皇、張学良、溥儀ら錚々たる面々と会い、また名もなき民衆の生活をまのあたりにした。調査団の一員のドイツ人政治家が見聞した、戦乱前夜の東アジアの姿。
目次
第1章 日本の印象
第2章 内憂外患の中国
第3章 満州事変のあと
第4章 北満から関東州へ
第5章 リットン報告書作成の旅
第6章 帰国の旅
第7章 満州事変と国際連盟
著者等紹介
シュネー,ハインリッヒ[シュネー,ハインリッヒ][Schnee,Heinrich]
1871年生まれ。アフリカ植民政策の権威として知られ、ドイツ領東アフリカ知事、人民党代議士を歴任する。リットン調査団の一員。1949年ベルリンで死去
金森誠也[カナモリシゲナリ]
1927年生まれ。東京大学文学部卒業。専攻はドイツ文学。広島大学、静岡大学、日本大学の教授を歴任
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感想・レビュー
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若黎
8
発売された当時は、ふーんという気分で手にしなかったが、最近読んだ『満州国演義』に触発されて読んでみた。ちょうど満州国建国あたりの日本・中国の様子が筆者の感想も含めて綴られており、訳のお陰もあって読みやすかったと思える。2024/09/21
駄目男
7
本書はリットン報告書ではなく飽く迄も調査団のメンバーだったハインリッヒ・シュネーによる『満州国見聞記』で、正確に言えば満州、日本、中国、朝鮮、シベリア鉄道見聞記と言った方が適切かも知れない。具体的な5人の会議内容には一切触れず、それぞれの国土、民衆、人物、習慣などがシュネーの目で観察されている。満州の実情を鋭く見抜き中国人独自の政府の再建とは見なさず、例外なく敵対感情を中国人は持っていたと結論付け、さらに真の実力者は日本人官吏と見ている点も流石だが、あの時代、日本はどのような選択をすれば良かったのか。2018/03/01
isao_key
6
ドイツ人の著者が1932年に国際連盟から派遣されたリットン調査団の一員として7ヶ月半、中国、日本、満州、朝鮮、ロシアを旅した記録。第1~6章までは旅行体験記であり、第7章で調査団のこれまでのことと決議についてが記述されている。当時の中国人の性質について、街頭で中国人がはげしく争ったり喧嘩しているところをついぞ見ず、中国人は一般的に平和的国民だとの印象を受けたという。今現在の日本人の感じ方とは大きく異なるが、わずか30-40年前の中国を思い出せば、われわれの印象もそれほど大きくは変わらなかったのではないか。2014/07/08
miffy.x.
3
当時の満州国とソビエトについての見聞部分が特におもしろかった!2017/09/22
かんがく
3
リットン調査団のドイツ代表の著者が、日本、中国、満洲を巡っての記述。当時の情勢がナマで伝わってくる。2016/06/22
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