内容説明
十七世紀前半、オランダは葡・西・英と東インド香料貿易の覇を競い、これを制した。その核となったのがオランダ東インド会社である。同社はジャワ土着君主の王位継承戦争に暗躍して版図を広げ、コーヒー等の栽培により栄華の時代を築き上げた。しかしそれも束の間、やがて衰退へと向かい十八世紀末には消滅する。インドネシア史を背景に描くオランダ東インド会社二百年の興亡。
目次
1 香料への道
2 V・O・Cの誕生
3 征服者クーン
4 日本貿易
5 陸にあがる
6 塗りこめた首
7 ジャワの支配
8 落日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
13
オランダ東インド会社は、現在のインドネシアをはじめ、日本やインド、ペルシア、タイなどに商館を設けて公益活動に携わった。17、18世紀のインドネシアそしてオランダの歴史は、このオランダ東インド会社の存在を抜きにしては語れない。本書は、東インド会社で活躍したオランダ人の活動(主にはオランダ東インド会社総督クーン)に焦点を当てながら、当時のインドネシア、オランダ、さらには日本の動向を明らかにしている。いかにマタラムやバンテンを経済的従属下に置いたのか。他方への従属といった単純な理解では片付かない事がよく分かる。2016/08/19
sakadonohito
9
オランダがインドネシアを領有する経緯が気になっていたので読んでみた。ポルトガル・スペインの凋落とイギリスの台頭の時間差の間に進出していたことが分かった。また江戸時代日本との交易では日本側が金銀銅を出す一方(輸出品が無く買うばかり)でその後の資源枯渇の原因の一つにもなっていたことが分かった。オランダ東インド会社の終焉はフランス革命が発端になっていることは知らなかった。インドネシアの歴史も少し分かったので良かった。2021/08/10
mob
3
収奪ばかりだと支配地域の価値が下がる。結局は頭を下げて欺いて寡占商売する方が儲かる。 現地勢力の興亡は目が滑ったが、テーマ的にはそれでいいのかも。2021/01/12
Oga
2
オランダ東インド会社について詳しく述べられていた。ざっくりとインドネシア支配の歴史を知りたかった自分には詳しすぎるものだった。利潤追求の技術屋であるオランダの商業ブルジョアジーがヨーロッパ・東南アジアに与えた影響の大きさを感じた。2024/03/10
つまみ食い
2
本国の命運と並行したオランダ東インド会社の興隆と没落について。冗談を飛ばす訳ではないが、落ち着いたユーモアが感じられ非常に読みやすい文体。植民地支配と暴虐への批判が本書全体を通じて流れているのを感じた2020/11/08