内容説明
悪人正機説や他力本願で知られる真宗の開祖・親鸞。危険思想視され烈しい弾圧にあいながらも、人々に受け入れられていった、その教えの本質とは何か。師の苦悩と信仰の極みを弟子の唯円が綴った聖典に詳細な語釈、現代語訳、丁寧な解説をほどこした。日本人の「こころ」を追究する著者の手でよみがえる流麗な文章に秘められた生命への深い思想性。
目次
窃廻愚案粗勘古今
弥陀の誓願不思議にたすけられ
おのおの十余ケ国のさかひをこえて
善人なをもて往生をとぐ
慈悲に聖道・浄土のかはりめあり
親鸞は、父母の孝養のためとて
専修念仏のともがらの
念仏者は無礙の一道なり
念仏は行者のために非行・非善なり
念仏まふしさふらへども〔ほか〕
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妙な…本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キョートマン
25
唯円が浄土のありがたさが分からないことを思い詰めて親鸞に相談したら親鸞もまたよく分かってなかったというエピソードがギャグ漫画みたいで面白かった。2021/03/22
nbhd
21
まず、かつて見たことのない“凡例”にぶつかって、心が震えた。曰く「現代語訳は解説者の心の感動を折り込んで訳した」。ここで「心の感動を折り込んじゃった宣言」をしちゃう梅原先生はやっぱり頭がすごいわ。この歎異抄、いったい幾つパラドキシカルな文言が並んでいるのか、こんど読むとき数えてみたい気持ちになるくらい不思議な本で、もうすっかりトリコだ。親鸞のパラドキシカルな物言いは、どこか現代口語の「逆にぃ」の用法に近い気がした。おなじみの悪人正機だって、「逆にぃ、悪人の方が救われる」と言い換えることができるし。2016/04/25
アイナ
9
「努力したら報われる」「原因があって結果がある」とガチガチに考えている人が読むと心が軽くなります。この世のことはすべて阿弥陀さまにお任せするという親鸞の心境にまではなかなか到達出来ませんが、道徳や世間体に縛られて窮屈に生きるよりも、幸せな生き方のような気がします。原文を声に出しながら、再読してみようと思います。2016/12/15
ホシ
7
『歎異抄』を手元に置いておきたくて買った。「親鸞の語り口は田舎のじいさん」という梅原氏の解説にとても共感した。親鸞は当時の大知識人。にも関わらず、奢りたかぶることなく、深く自己の内面を見つめ、法然を生涯の師と仰ぎ、「田舎のじいさん」の語り口調で人々を教化した。それでも存命中はほとんど無名といって良い僧。親鸞の、そういう奥ゆかしさが『歎異抄』を読むと伝わってくる。唯円「親鸞さま、念仏を唱えても、あまり嬉しくないし、はやく浄土に行きたいと思いません。」親鸞「うむ。ワシもじゃ。」この師弟、カッコいいわ。2016/02/01
shimashimaon
6
飲茶著『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』で親鸞に興味を持ったのがきっかけ。親鸞の師、専修念仏を唱えた法然は、吉川英治著『新・平家物語』にも登場するから、法然や親鸞が生きた時代を想像しながら読むことができた。歎異抄の各条ごとに、〈原文〉、〈注〉、〈現代語訳〉、〈こころ〉で構成されており、〈原文〉は音読して味わった。「善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」。「善悪のふたつ惣じてもて存知せざるなり」。“分別理性のたわむれ”から脱することは困難なれど、無分別智の境地を目指したいものだ。2017/11/11
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